2013年12月21日土曜日

【レポート】オープンデータ・カフェin会津「TOCでオープンデータの活用を考えよう」を開催しました

去る12月13日(金)にオープンデータ・カフェin会津「TOCでオープンデータの活用を考えよう」を開催致しましたので、簡単ではありますがご報告致します。



今回はいつものカフェと違い”あるツール”を学び、それを利用して地域の課題の発見とその解決策まで考えていこうという内容です。そのツールを学ぶため、講師として釼持勝さんをお招きしました。釼持さんはこれまで数々の観光施設の運営を経験され、観光振興のアドバイスなどを行う地域コンサルタントとしても活躍中です。さらに「観光情報学」という言葉の生みの親でもいらっしゃる、いわば観光、地域おこしに関するエキスパートです。

そんな釼持さんから生産管理のための理論、また経営手法でも使われる「TOC」と呼ばれるツールについて深く学び、カフェの後半ではそのツールを使ってワークショップを行いました。

まず始めにTOCを知るための座学からスタートです。



最初にオープンデータの活用目的について触れ、「自治体はオープンデータでの"貿易"」を目論んでいると説明がありました。近年、若年層の外出余暇時間がどんどんと減少、その理由として正規雇用者の平均年収も減少、非正規雇用者が増加していることを指摘し、今後若年層のレジャー消費は減っていくだろうと述べ、例としてあげたスキー場も何も手を打たなかったため利用者数がどんどんと減っている様子も明らかにしました。

全国的に地域おこしや地域再生がうまくいっていない理由として、会社経営より難しいことを挙げ「それなのに素人のようなやり方をしているから」と指摘。そこで紹介されたのが「TOC」というツールです。

このツール(正確には理論)は、問題の根本となる原因を発見し、全体の流れを最適化するためのもので、その根本となる原因のことをボトルネックと呼びます。簡単に言えば「全体の流れが詰まっている原因だけに着目し、そこの改善のために時間を使うためのツールということができます。

このボトルネックとはすぐに解決すべき点であり「事業の方針や習慣、人」に関係するものがほとんどであるとし、そのボトルネックを見つける方法やそれが解決することでどのような効果があるのかなど、より深くTOCを知るための説明があり、参加者からもうなずく声がところどころ聞こえました。



講義全体を通して、これまでの対処療法的な手法では現代のような絡み合った問題には到底対応できないため、新しい手法としてこのTOCを利用することは、使う人の力量が試される反面、改善効果は高いのではと強く感じました。

座学のあとはワークショップです。

テーマは「会津の地域が抱える問題や課題をTOCを使って解決策を考える」です。これまでのカフェでも同じようなテーマでアイデアワークショップを行ってきましたが、それらはどちらかというと「FAST」。今回はTOCを使うことで参加者全員でじっくりと考えていく「SLOW」なのが特徴です。

まず2チームに分かれ、それぞれのチームのメンバーが「会津の問題や課題」と感じることを付箋紙にどんどんと書いていく作業からスタートしました。その後、模造紙に貼り付けられた付箋を観光、大学、交通などカテゴリーに分けていきます。

次にそのカテゴリー分けされたものを1つにまとめる大テーマを決める作業です。この結果出てきたものが、今回チームで取り組む「課題」になります。

それが決まると次にその課題に対し、「なぜそれが起きるのか?」と問いかけその答えを書きます。出てきた答えにさらに同じ問いかけをし、どんどんと書き出していきます。そうすると課題を基点にツリー上に原因が下に伸びていく状態になり、課題を掘り下げていっている様子を実感することができました。



30分~1時間ほど取り組んだ後、釼持さんが指示したのは「出てきた中からボトルネックを探すこと」。1チームあたり30以上の原因が出てきており、この作業は非常にむずかしかったのか釼持さんに質問するチームもあり、自然と議論も活発になっていました。

各チーム1つボトルネックが決まったところで今度はどのボトルネックをどうやって解決していくかというフェーズに移り、「誰に対してどんなアクションをするのか」、「どんな人に動いてもらうのか」、「そのためにどんなことが必要か」など貼りだされた付箋を見ながら議論をしていきます。この議論だけでも1時間~1時間半ほどの時間を使いじっくりと話し合いが行われ、今までのカフェにはない空気が生まれていました。



最後に成果発表として各チームの代表が5分程度のプレゼンテーションを行い、どんな課題を設定し、何がボトルネックで、それをどのように解決するのかを発表、釼持さんからもそれぞれの成果物に対しコメントをいただきました。



気がつけば予定していた時間を大幅に越え、今回のカフェは終了です。
これだけ議論が盛り上がったのも課題のボトルネックだけに集中して議論ができたためで、TOCの良さを実感した参加者も多かったように感じます。

釼持さん、本当にありがとうございました!

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