2013年12月20日金曜日

【レポート・更新】オープンデータ・カフェin大垣「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近な話題を解決しよう」を開催しました

去る12月19日、大垣市のドリームコアにて、オープンデータ・カフェin大垣「繋がるオープンデータ「LOD」で、身近な話題を解決しよう」を開催致しましたので、ご報告致します。(2013.12.27 更新しました!)



2時間のカフェのオープニングは、弊社取締役・原より、「オープンデータ化によって自治体のデータ提供におけるスタンスが変わる」というお話。
これまで「データを保持している」ことにより自治体に伴っていた様々な「責任」が、オープンデータ化によって市民に開放されることで「免責」となるのです!役所のみなさん、データを解放しませんかー!
写真は、それを熱く語る、原です。ありがとうございました。




今回話題提供をお願いしたのは、名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教の白松 俊先生。

まずは、ご自身の経歴とオープンデータとの出会いをプレゼン。
2010年ごろまで「人間の言葉を自動解析する研究」をなさっていたという白松先生、1年後、地域課題に疎い一般市民が議論に参加できるには?という課題から、「住民参画支援システム」の研究をスタートされました。
そのアプローチとは、ニュース記事やWeb上の意見などの「議論の種」を分類、「構造化」し、Web上の「地域の議論の場」にできないか?というもの。しかしそれでは、身近な地域課題に関する背景情報が確実に拾えるとは限らないし、システムに集積した情報をただ「議論の種に使ってください」と提示しても、建設的な解決方法の議論には発展しづらい。そこで、それらの問題点を見いだした白松先生は、【Web上にまだない身近な課題や解決目標を、地域の人々が自ら公開する仕組みが必要ではないか?】という、先生の現在のシステム研究に至る課題にたどり着いたそう。これが、先生とオープンデータとの出会いです。




2012年7月の政府の「電子行政オープンデータ戦略」策定を皮切りに、2012年後半から今年にかけて、日本国内のオープンデータ運動が隆盛を迎えます。
2013年7月からは、大垣のソフトピアジャパンにて「オープンデータ・カフェin大垣」がスタート(わざわざ動向のひとつに入れてくださいました)。2013年は、日本各地でオープンデータを題材にしたハッカソンが毎週のように開催されています。
そう、この「ハッカソン」。オープンデータが題材だと、市民の技術力で地域の課題を解決する「シビックテック」の分野のイベントです。

その「シビックテック」推進のため動きの紹介も。

【Code for AMERICA】
・シビックテック推進のためのアメリカの非営利団体・2009年から活動,各地の自治体も巻き込んで成果・市民協働の仕組みづくりの例地域住民の意見を取り入れるためのWebサイト開発街の課題をスマートフォン等で報告するシステム開発
−地域課題の解決に向けた開発イベント(ハッカソン)

【CODE for JAPAN】

・日本でもやろう!と20136月ごろから始動
関治之さん(ジオリパブリック社)が中心・一般社団法人として法人化(1025)

【日本各地のCode for X】も紹介くださいました。
ことに東海地方の団体は、
・CODE for GIFU (岐阜県, CCL 志知篤)
・CODE for TOKAI (東海地方, 名大 河口信夫先生)
・CODE for NAGOYA (名古屋市, Yahoo 河合太郎さん)
・CODE for SHIZUOKA (静岡県, NCD 大石康晴さん)

そんな【Code for X】のために必要なことは、

①解決すべき地域課題を共有するための仕組み
②地域住民が組織を超えて協力できる仕組み の2つ。
身近な課題や解決目標を、地域の人々が自ら公開する仕組みを作ろう!ということで、白松先生の研究が進み始めました。

そこで活躍するのが、Linked Open Data(LOD)。
Linked=ひも付けられた Open Data=オープンデータ ということで、オープンデータを互いに繋げて組織横断的にデータを二次利用しやすくするデータ公開方法です。
必要最低限のオープンデータの条件から発展し、URIで物事を示すことで他者がリンクできるようにしたり、データへリンクすることがその条件になります。


先生は、まず「震災復興」というテーマでデータを試作。復興関連資料から人手で復興目標を抽出してみました。
例えば、
【大目標】震災復興【部分目標】「東北に観光客を誘致」
【部分目標】「新たな旅行商品をつくる」

大目標の幹から、だんだんと細かくて身近な部分目標に分かれるという、言ってみれば「木構造」のシステム。
しかし、ここからまた課題があがってきます。
・対象地域の違う類似目標

・部分目標がどの粒度まで細分化されるかは元の資料によってバラバラ

実現したいのは
・協業の相手となりうる他の人々を捜すため、下記の2条件のどちらかを満たす人々を検索可能に
 1.目指す目標や注目する課題が似ている(多くの人の間で)
 2.スキルやリソースを補い合える(2人の間で)
・抽象的な目標を部分目標に細分化できる
・「困ったこと」は認識しているが、自らがその解決を目指すのはためらうような住民でも参加可能

それを解決するため、白松先生が開発したのが、Webアプリ「ゴオルシェア(仮)」。
先生の作成した「ゴオルシェア(仮)」は、2通りの使い方を想定しています。


①本人が身近な課題/解決目標を入力する
②影響力ある人の課題や目標を第三者が入力する

入力の手順は、
1.課題(困ったこと/解決したいこと の入力)
2.その解決のための大目標の入力
3.大目標を具体化した部分目標の入力 です。




講話の後半は、参加者の皆さんにも実際に「ゴオルシェア(仮)」の入力を体験していただきました。まずは、アプリのしくみを知るためにも、机上でアイデアを出しながら、木構造を作っていきます。



グループごとに、「大垣地域の課題」を書き出す皆さん。
「ソフトピアに駐車場が少ない」、「企業同士の交流が少ない」、「夜になると暗い(街灯が少ない)」、「駅まで歩く時間が長い」など、10分足らずで様々な意見が出されました。




自然と立ち上がる参加者の方々、いい雰囲気で続いてのワークです。
出された課題からひとつを選び、その課題を解決するための「部分目標」を考えていきます。部分目標を解決するための目標、そんな感じでどんどん目標を細分化することで、こんなツリーが、できあがります。




ツリーができたら、実際にWebに入力していきます。まだ開発中のシステムですので、
少し戸惑う方もいらっしゃいましたが、「ここはこうなったらもっと良くなるね」などの意見も出しあいながらの和気あいあいとしたワークになりました。


 ワークを終えた皆さん、このシステムに期待いっぱい。今後の活用が楽しみです。
参加のみなさんからは、様々なご意見、ご要望がありました。

最後に、先生が考える「ゴオルシェア(仮)」で期待する波及効果としては


将来「ゴオルシェア(仮)」が完成して広く使われると、
協力者を探しやすくなる
 –可能性のある人と目標を比較して協業の可能性を検討
②世の中の動向がわかりやすくなる!
 –影響力ある人達がいつまでに何を成し遂げようとしているのかがクリアになる
(はずだと信じて完成するまで頑張ります:先生談)  とのこと。


今回の参加は、17名。名古屋工業大学の学生さんも来ていただき、活発な意見交換、アイデア出しが行われた会になりました。ご参加のみなさん、そして白松先生、ありがとうございました。

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