2014年3月28日金曜日

【レポート】いなかソン第2弾!「地域の宝を掘り起こせ!第一次産業×ITで地域を輝かせる!~農家ソン~」が開催されました。



 先月の3月21日に秋田県五城目町でいなかソン第2弾!「地域の宝を掘り起こせ!第一次産業×ITで地域を輝かせる!~農家ソン~」が開催されました。


1.開催日時 
 2014321日(金)13:00 2014322日(土)17:00



2.概要
 A、Bという2つのプログラムに分け、AはIT技術者やデザイナー向けに、Bは企画業務やまちづくり関係者向けとしそれぞれに関連したワークショップや講演会を開催されました。プログラムの具体的な実施項目については以下の通りです。





①五城目まちなかフィールドワーク

 これからの2日間様々なアイデアワークを行う上で必要になってくる情報のインプット。そのために五城目という町がどのような町であるのかを実際に街を歩いて学ぶ「まちなかフィールドワーク」を行いました。

 案内役は五城目町役場の柴田氏です。訪問先は

  • 道の駅五城目
  • 五城目朝市ふれあい館
  • 福禄寿酒造
  • 北宇商店

4箇所で、参加者は訪問したそれぞれの場所で説明を受け、各自買い物をしたり写真やメモを取っていました。





②「農業の現状と松橋ファームの取組」

 最初の講演は松橋ファームの松橋拓郎様。日本の農業の現状とそれに対する松橋ファームの具体的な取り組みについて紹介をいただきました。
 松橋ファームは秋田県大潟村で家族経営の農業を営む農家で、お米や野菜の生産と販売を軸にするほか、福禄寿酒造と共同で「農家がつくる日本酒プロジェクト」や、東京丸の内での「松橋ファームナイト」、阿佐ヶ谷での「収穫祭」など、作る人と食べる人、そして売る人それぞれの顔が見える農業を目指し、それぞれをつなぐためのコミュニティーづくりにも積極的に取り組まれています。講演の中で松橋氏はCSA(Community Supported Agriculture)という考え方を提示し、今後農業を行っていく上で「地域(コミュニティー)に支えられた農業」が大事であると説明。松橋ファームがこれから行っていくべきCSAを紹介しました。




  • 物理的な距離よりも精神的な距離に重みを置く。
  • 家族構成やライフスタイルに合わせて頻度や量感をコントロールする。
  • 実際に食べてもらう機会を作りながら語り合う機械をつくる。

これらの成果として前述したようなさまざまな取り組みがあるとし、「農家としての生活を成り立たせることで農業の世界に貢献していきたい」と述べ講演を締めました。

 

③「地域活性化アイデアソン(ワークショップ)」

 「五城目町の第一次産業を盛り上げるためにどんなサービス・商品が必要か」と題して、参加者がまち歩きで収集した情報をもとにアイデアワークショップを行いました。ファシリテーターは株式会社CCLの原亮氏。

最初にアイデア出しを行うツールとし「ブレインストーミング」を紹介、そのための心構えとして「意見のプラスの面を見つけてそれを膨らませていく」ことと「実現可能性については後で考え、とにかく些細なことでも量を出していく」ことの大切さについて説明しました。それを基本とし、まずは「五城目の農産物、加工物の魅力を増すための必要なアクションを考える」をテーマにしたアイデアワークで、アイデアを膨らませるための用紙(マンダラアート)を用意して、アイデアを書き込んでいく作業を実施しました。その後、グループ内で結果を見せ合うことでアイデアの共有も行いました。



 次に「 五城目の農産物、加工物の魅力を壊すための必要なアクションを考える」と題して、まずは参加者に「どんなことをすれば五城目の魅力を失わせることができるのか」という案をA4の紙一枚に可能な限り書き出してもらった後、その一つ一つの案の「逆」の表現を書いてもらいました。
 このようなことをする理由として、まったく経験のない異分野のテーマでアイデアを考えるときに最初から肯定的なアイデアを出すのが難しい場合が多く、その時は否定的なアイデアから入り、量を出し、最後にそれを逆にすることで良質なアイデアが生まれる確率が高くなると説明しました。

 最後の締めのワークとして紹介されたのが参加者同士がペアを組み、お互いのアイデアを見せ合い意見を出し合う「ペアブレスト」、そして参加者全員がそれぞれいいと感じたアイデアに印をつけていく「ハイライト法」と呼ばれる手法です。
 ペアブレストでは通常のブレスト同様、相手の意見を否定せず良いところに目を向けるよう説明し、5分間のペアブレストを合計3回実施しました。ペアブレスト後は「アイデアシート」と呼ばれるシートにアイデアを一つ一つまとめそれをハイライト法により全員が評価を実施し、最終的に10個以上印がついたアイデアを考案者自身に発表してもらいました。





④交流会

 交流会では五城目の名物「だまこ鍋」が振舞われ、また各種地酒も用意されました。また参加者の中にフルート演奏を行う方がいたり、個人で地酒を持ち込む方もいるなど終始盛り上がりを見せていました。





⑤ITサービス試作品開発ワークショップ(ハッカソン)

 ハッカソンとは「ハック」と「マラソン」を掛け合わせた造語で技術者たちが自分たちが持つ技術やアイデアを競い合い、サービスやアプリケーションのプロトタイプを開発するというもので短時間に集中的に行うのが特徴です。今回のハッカソンは夜通し施設内での作業ができないため各自宿泊先や自宅に戻り作業を行っていただきました。

 翌日は職員室を作業場として提供、ウェブアプリケーションを作る人、スマートフォンアプリを作る人、デバイスを活用したプレゼンテーションを作る人など内容はさまざまで、15時の成果発表会に向けて各自集中して作業を行っていました。(成果発表は後述の「9.成果発表会」)



⑥地域活性化アイデアソン(発展版)

 この時間は「五城目ステキブラッシュアップ計画」と題して、前日の街あるきで撮影した写真を活用したワークショップを行いました。具体的には以下のような流れです。

  1. 体験の追加
  2. 魅力の整理
  3. アイデアスケッチ作成
 まず「1. 体験の追加」では、前日に写真に収めた場所やモノ以外に魅力に感じたことを手書きのイラストで表現する作業です。その後、その魅力がだれにとってどんな魅力があるのかを考える時間へと移り、「多分こうなのではないか」という自分なりに感じたこと、考えたことを付箋に書きだしその付箋を写真の上に貼り付けてもらいました。

 最後に、書き出された魅力を際立たせるためにどういうことが必要なのかを考えるペアブレストを行い、具体的なアクションやサービスに落とし込むためアイデアシートにまとめる作業を行っていただきました。


⑦地域観光セミナー&ワークショップ

  午後からは、釼持勝氏によるセミナーとワークショップです。「五城目町の農林業観光の可能性」というテーマでお話しで、先ずは現在外国人の来訪客が盛んな北海道のニセコ町の事例の紹介がありました。


「何故、ニセコには外国人観光客が来るのか。」
 これまでのBUSMAP、宿泊メニュー等のやり方を変え、周辺飲食店の情報を電子的に知ってもらう様にすることなど様々な取り組みが紹介され、そしてニセコでの3年間の取り組みが、実際に他の地域とどんな差が生まれたのかを実際のグラフにして分かりやすく説明して頂きました。

 釼持は「先ずは外からの人材が必要だが、最終的に大事なポイントは、経営資本のやり方を覚えた地域の人材がどれだけいるかが重要になる。」と、地域の人材の重要性を述べました。日本の現状は、世界の観光に比べて「情報」に関しては15年ほど遅れているそうで、地域の情報を自分で調べられない人は、自分の日程に合わせて、旅行を組み立てられないのが現状だそうです。

 次に「何故地域は今観光が必要なのか?」という話題にうつり、現在日本では地域人口と所得の減少、外出型余暇時間の減少、地域内消費額の減少の問題があること、そして日本の年間の収入減少のグラフや極端に減ったレジャーの話が紹介されました。

 では、どうやって観光振興を企てるか、これからの「交流時代」の観光をお話頂きました。重要なポイントは、

  • 人の集まっている場所を見つける
  • なぜ集まっているか。その魅力を把握する
  • 今来ている人に「もう一度来てもらう」
  • 「隣まで足を延ばす」
  • 「長時間滞在する」
  • 「友達を誘ってくれる」
  • お客様が「来ない、来れない理由」徹底排除する

これらの方策が必要となってくるそうです。そして、現在どんな「農林観光」の企画が成功しているのかを、写真を見せながら説明して頂きました。また、西海岸の秋田といわれているシアトルや、ラベンダー観光事業の例、アジア最大の食品展示会での日本の酒造が作った木桶の販売の例などもありました。


 では日本ではどのように売ることが出来るのか?それは「マスメディアに知ってもらうこと」が大事であり、そのためのメディアガイドを作ることだと述べ、セミナーを締めました。

後半はワークショップです。3チームに分かれ、ワークショップ作成が行われました。

・メディアガイド作成チーム
 写真を使い、五城目としてマスメディアに紹介すべきものや、新聞テレビ局にどんなものを見せたら食いつくかを考え作っていきます。(成果発表は後述の「9.成果発表会」)

・他の2チーム
午前中に行ったアイディアワークの紙を元に、実際にどんな人をターゲットにし、どんなサービスにしていくかを考えていきました。(成果発表は後述の「9.成果発表会」


⑧成果発表会

 セミナー&ワークショップでのグループワークと、ハッカソンでの成果物を発表者ごとに5分でのプレゼンテーションです。前者は合計3チームが発表しました。

1チーム目:朝市という素材を使った観光ツアープログラム

 現状の問題点としてツアーは毎年継続しているが人がなかなか集まらないという課題を、どうしたら収益につながるものに育てられるのかというところを考えたとのことです。そこで、新しい観光ツアープログラムとして朝市を見てものを買うだけでなく、山菜の採取やそれらを街なかで販売したり、料理教室で調理して食べるなど、従来の観て買う以外の体験が可能なプログラムを考案。課題はまだまだあるものの、それも含めて新しいアイデアを得ることができたと感想を述べました。

 


2チーム目:ストーリーで売るメディアガイド

 五城目がどれだけおもしろいストーリーを持つ町なのか、というところに目をつけて恋地とラズベリーという2つのキーワードから五城目を「愛を育む場所」と考え、秋田市内のカップルをターゲットにデートプランを提案しました。古民家や自然、木苺農園、農家レストランなど観て、買って、食べて楽しい場所を写真を使って紹介し、カップルが行ってみたいと思ってもらうストーリーを組み立て毎年2回以上来てもらうことが目標だと発表しました。


 
3チーム目:木苺農家に木苺を本気で作ってもらうための儲かるストーリー

 木苺の生産量日本一を誇る五城目町ですが、実際ケーキやジャムなど加工食品として出ているがあまりスーパーで見かけないことや、天候に左右されやすくまた収穫も大変という課題があり、さらに農家も片手間で作ってるところが多いという現状を指摘。そこで生産者に木苺を本気で作ってもらうための儲かるストーリーを3つ発表しました。「市場成長性の高さ」、「利益率の高さ」、そして「生産効率の高さ」です。この3つのポイントは生産者を納得させるために、具体的な数字を使ってまとめられていました。また生産の側面以外にも生産したものを消費量の高いロシアに輸出するなど国内に留まらない内容になっていました。




次にハッカソンチームの発表です。発表者は5名です。

1.松橋翔さん

 松橋さんのテーマは「農業×SNS」。作成したアプリは、事前に農場の場所とその場所に行った時に投稿する文字をアプリに登録しておき、GPSから取得した現在位置と比較し、農場に行っている事がわかると自動でSNS(ツイッター)に農作業をしている事を発信できるというものです。デモでは実際に文字がツイッターに投稿されるところを見ることができました。




2.西本浩幸さん


 西本さんのテーマは「だまこマン」。イラストなのにインターネット上で検索してもなかなかだまこマンのイラストが見つからない点を疑問に思い、写真と文字をアップロードするとだまこマンが吹き出し付で自動で「スタンプ」され、入力したメッセージをしゃべっているかのような写真ができあがるアプリ(=だまこマンフォトメーカー)を制作。デモでは選んだ写真にだまこマンと吹き出しが合成される様子を観ることができました。










3.熊谷直央さん

 熊谷さんは360度の景色が撮影できる特殊なカメラを利用し、街歩きで撮影した写真を自分のGoogle ストリートビューに投稿するデモです。公式のGoogleストリートビューに掲載されるためには審査が必要とのことで五城目町は現在でもGoogleマップ上では見ることができないのですが、熊谷さんの専用ページで撮影した作品を閲覧できるとのことです。




4.渡部健太さん

 渡部さんは町に住む高齢者を「町のことを熟知した観光案内人」と捉え、ガイドブックには載っていないレアな観光をしたい観光客が自由に案内人を選べるサービスを制作しました。このサービスではユーザ(観光客、案内人)の管理や観光案内の予約管理、会計管理、そして街のPRや案内人の紹介などができるようなものを目指し、今回のプロトタイプではログインし、実際に案内人を予約するところまでを制作したとのことです。






5.中河昌士さん

 中河さんはご自身も農家をやっているということもあり、1農家あたりの耕作面積の増加により田圃の巡回等に時間(数時間かかる例もあるとのこと)と費用がかかってしまっているという問題を取り上げました。そんな中、カメラ機能がついたスマートフォン(以下、スマホ)の登場により田圃に電気がなくても電波とバッテリーさえあれば使うことができるスマホの利点を挙げ、スマホを田圃に設置することにより水位、稲やあぜの雑草の様子を遠隔で確認することが可能なサービスを考案。これにより、12回ほど行う巡回作業も省くことができるようになるのではないかと説明しました。



 以上、全部で8つのアイディアがうまれました。皆さん完成度が高く、どれも実現可能で面白いものばかりです。今回は、地元の方の他に、秋田、東京、会津、仙台などから来た方が参加されていました。初めてお会いする方々ばかりでしたが、その分違った見方で新しいアイディアが生まれ、それを形にしていく楽しさが体験でき、熱い二日間を過ごせたと思います。


下記は、今回のイベントページと、前回のいなかソンブログです。よろしければこちらもご覧ください。



今回のいなかソン、イベントページ

前回いなかソンブログ
http://opendatacafe.blogspot.jp/2013/11/in_22.html







2014年3月27日木曜日

【レポート】(3/26)オープンデータカフェ@みやぎ~水産加工業の現場からオープンデータの可能性を学ぶ~

宮城県は、全国でも有数の水産物の漁獲高を誇る。東日本大震災で大きな被害を受けたが、以前のような盛り上がりを戻すべく、水産加工業の方が日々努力している。
そのような中、国のIT戦略本部でも水産加工業×ITが注目され、水産加工業とオープンデータを使ってのトレーサビリティの実証実験が行われている。
 水産加工業×ITといってもなかなかイメージしにくい。そこで、石巻の金華鯖を加工して、鯖寿司として県内外に販売をしている株式会社エムコーポレーションの板橋一樹氏を講師に、同社を一例として、水産加工業の実状をご講演頂いた。

同社は、元々、石巻市で魚の卸をしていたが、仙台が京都に営業に行った際、鯖寿司にほれ、「華ずし」というブランドで鯖寿司の加工と販売を始めた。
まず、鯖寿司の製造過程の説明があった。
鯖の旬は10月である。そこで鯖を仕入れ、包丁いれて塩をまぶすことでその時期の品質が分かるとのこと。その後、サンプルをもらってきって、品質がよければ、200ケース(1ケース20尾)を一度仕入れ、それを34回、繰り返す。その後、1年間、冷凍会社に保管し、その都度、取り出し加工する。米はササニシキを使って仕入れている。コメの卸と農家自体と直接契約して行っている。
実際、鯖寿司の工場は4人の職員で加工を行っている。冷凍した鯖をそのままさばいて、塩入れるという過程を110ケースほど行う。その後、12日骨抜きを行い、もう一度冷凍する。その後、酢漬けして、皮をはいで酢飯と合わせて鯖ずしをつくっていく。
現在、同社で課題として感じているのは在庫量の把握である。鯖寿司の生産について、鯖がなくなってしまうときがあった。生産計画を立てていけばいいが、在庫量がわからないまま、進んでいくということがある。今の在庫管理法は、手書きの紙とFAXで管理している。
販売する商品の製造原価については、400尾つくるのに、5時間かかってつくった場合、そのまま人件費を最終財の価格に乗せている。作業効率が上がれば、それだけ粗利があがる。現在、週12回、原価計算を行っている。人が多く投入すればするほど、原価は下がる。2人で1時間かかっているものを4人投入すれば、半分ではなく4分の1に下がったりする。現場からは人を増やしてほしいという声も上がっている。一番忙しいのは週末の金曜日。スーパーが土日で寿司を売ることが多い。
特殊な技術が必要のため、スポットで入るということは難しい。機械化が進んでいる所はこうした問題はないが、そうではない所は難しい。鯖の仕上がりは、機械でやった時と手作業の差は全然違う。機械によってのロスが出てしまう。
鯖寿司はスポットスポットで食べてもらえるようなもの。いつ注文が来なくなるのかわからない。そのため、人を増やすことには踏ん切りがつかない。
他の課題として、午前寿司、午後鯖きりやろうとしたら、午前中に注文が想定しているより来てしまい、鯖きりできず、在庫がなくなるということもある。これは仲買の業者が業務に謀殺され、注文忘れから起きることのこと。
こうした水産加工業の現状を知ったうえで、華ずしを試食しながら、解決策について参加者で議論を行った。
まず、既に公開されている市場の物流量を示すオープンデータと普段の注文量の記録を行い、その差を比較することで、季節で変動したとしても事前に注文量が予測できる仕組みがつくるのではないかという意見があがった。また、紙で管理している伝票や一時素材(しいたけや昆布)といったものの在庫を把握できるよう、簡単にタブレット端末を使って入力できるようなアプリを開発すれば、業務効率につながるのではという意見も上がった。





【レポート】(3/24)オープンデータカフェ@みやぎ 「オープンデータ×クイズ ~初心者向けのアプリでオープンデータを知ることができるのか?~」


 国の重要な施策として位置づけられているオープンデータ
。一部の人には知られてきているが、まだまだ認知されていない概念です。
 そこで、より多くの方にオープンデータのことを気軽に知ってもらえるよう、仙台のシステム会社であるアンデックス株式会社の研修生が開発した「オープンデータクイズ」というアプリをテストプレイしてもらい、オープンデータを知らない大学生に、このアプリはもちろんのこと、どういったことがオープンデータを知る上で必要になるのかフィードバックをもらう場として開催しました。
 このアプリはクイズ形式でオープンデータのことを気軽に知ることができるアプリです。「ビギナーズ」と「マスター」の2つのコースに分かれ、前者は入門的なものが、後者はより専門的なオープンデータに関する問題が、出題されます。11問回答するごとに、問題やその答えの開発がされ、ゲーム感覚で学べるものです。
実際に、モニターをして、1時間、集中して没頭するほど、大学生にとって楽しめるアプリだったようでした。一方で、単なる暗記ゲームになってしまうという課題とオープンデータを推進することで、何が良くなるのかというのは見えないという感想が上がりました。
その他、大学生から上がった感想は以下のものです。

以下、参加者の感想

・学習できる機能があるといい。Z会アプリが参考になるのでは?そこがないと、暗記ゲームだけになってしまう。 
・クリエイティブコモンズライセンスが唐突すぎる。
・金沢支援ナビの箇所は、金沢支援ナビがダウンロードできるようにするとよい。
・オープンデータにするとどう良くなるのかが、分かるような質問とかあるとよい。
・カテゴリーで苦手分野を出せるとよい。
・問題を全て聞いていると、タイムアップになってしまう。
・三択以外、例えば、マスターコースは入力する形など。
15秒で問題読んで、理解までの時間は足りない。
・一時停止ボタンがあるとよい。
・途中でやめられるシステムがあるとよい
・称号が何のコースで取得したのかわかるとよい。
・問題にもキーワードのリンクが行けるとよい
・下のボタンのレイアウトをもう少し上にあげた方が良い。端末によってはホームボタンを押してしまうことがある。
1回ごとに総合成績の類型があるとよい。
・詳しい説明とか、事例に飛ぶのはよい
・称号取得した回数も出るとよい。
・タイトルで「Push Button 」を押してしまう。
data.govのリンクに飛ぶといきなり英語のサイトがでるので、びっくりする。
・問題にナンバリングされているので、全部の問題が見れると良い。
・スライドシェアのリンクの際、何ページが分かるとよい。
・解説のリンク先がどの解説なのかわからない
・問題数を設定できるのも良いのでは
・基礎的な情報の参考資料のリンク集が出て来るとか
・分析とか診断できたら、いろんな分野の入門アプリ用エンジンできるかも。
・回答が5.4兆、5.5兆、5.6兆の選択肢だと幅が狭すぎる。
・ターゲットが分かりづらい。このアプリを使うことに関する利点が分かるとよい。
・市役所の人がやるためのアプリだとよい。
・作業ゲームにならないようにしないものが必要。
・ビギナーコースの下のコースでチュートリアル的なものがあるとよい。
・ダウンロードして使い続けるのかという課題はある。
・全国や他のユーザーとの対決ができるものがあるとよい。
・皆で情報集めて投稿すると、それがオープンデータになるゲーム



2014年3月25日火曜日

【レポート】オープンデータ・カフェin大垣「『税金はどこへ行った?』で見えること、見たいこと。」開催しました。

24日、大垣支社としては最後の開催となった、「オープンデータ・カフェ」。

メインテーマを「Where Does My Money Go?〜税金はどこへ行った?」に定め、岐阜が独自に展開した全自治体版のリリースや、ヴィンテージ版、比較機能版などの新展開について、来場者とのディスカッションを開催
 また、ゲストに福島県会津若松市のITベンチャー・デザイニウムの前田諭志さんをお招きし、地域課題の解決としてのサービスを考える時間になりました。




 まず始めに、大垣支社スタッフ・國枝より、本事業において作成したロールモデルアプリの紹介。

・ゴミ収集日チェッカー(大垣市)
・海津市診療所マップ
・岐阜市さかな図鑑
・名水マップ(大垣市)
・避難所マップ(大垣市)
・「税金はどこへ行った?」⇒岐阜県42市町村+県版 
 (http://spending.jpより検索
・「税金はどこへ行った?」⇒ヴィンテージ版

「ヴィンテージ版」は、10年前、25年前、50年前の決算が見られる。
▷50年前だと、農林水産費に「養蚕業費」などがあり、時代を感じられる。
▷科目の振り分けは、50年前にさかのぼると、教育費に多くの科目がみられる。今は、約半分以下の科目になっている。
▷データを見るだけでも、時代の移り変わりが分かる。

などの特徴があります。

続いて、「税金はどこへ行った?」について。

「税金はどこへ行った?」サービス概要
Open Knowledge Foundation Japanの取り組み
2012年くらいから始まり、ソースを流用しながら各地のエンジニアが自分たちの地域のバージョンを立ち上げている。3/24現在、128のサイトが立ち上がっている。
・各自治体とも、歳入・歳出が同じ費目で並ぶようにしている。
・出てくる税金の振り分けは、仮の振り分けで表示されるので、厳密には正しくない。実際は国の税金なども含まれており、全て市民が払ったものではない。
・各市町村、それぞれ入手できるデータで追えるもののみが公開されている。


また、各地の「税金はどこへ行った?」も見てみました。


【東京都品川区】
・作った人の独自の整理がされている。
・地方財政の知識がいくらかないと、作成がやりにくいことが分かる。
・アイコンのイラストもそれぞれに定義してやっていくので、各地で違いがある。今後、統一していく必要がある。
・税金のデータは、歳出のデータを使った方が良い。「予算」だと、必ずしも使われていないかもしれないため。

【千葉市】
・わかりやすい言葉で整理されている。
・詳細もしっかりしており、説明も細かい。
2013年のInternational Open Data Dayで活動し、作成したことがサイトで紹介されている。

【青森県】
・当初予算のデータを使用、分野を絞って掲載している。

【岐阜県】
・県の情報産業課のホームページにある「岐阜県オープンデータライブラリ」にはH24年度の決算データが載っている。
・総数128のうち、3分の1は岐阜のもの。


「税金はどこへ行った?」を使ってできることについて

・すでにリリースしている「ヴィンテージ版(過年度版)」
⇒社会情勢が変わった時代のものを、ということで、25年、50年前のバージョンを作成した経緯がある。

改めて見てみると、
・土木費など・・・数字の変化あり。
・25年前=バブル時代。50年前=所得・GDPも増え、経済が拡大した時代。
・古いデータを掘り起こした苦労

作成者・國枝の感想
▷50年前の資料は「活版印刷」なので、読み込む必要がある。しかし、PDFから文字データを起すことは無理。紙をめくると破れてしまうため、印刷してもらって手打ちでデータを起した。それでも、印刷機に載せるときにはがれたりして、古文書のよう。
このままだと、読むことすらできなくなるため、古いデータの書物などに言えることだが、「必要な場面で必要な形で使えるようにする」=古いもののデジタル化、が課題。
▷実際このようなデータをひっぱりだすには、やはり自治体の協力が不可欠。今回は、県庁の出納課で「OD相談室」として常駐。統計課に話を聞くなどした。
Code for Americaが行っている、民間のスタッフが行政に出向し、開発等を行う「フェローシップ」のお試し版をやらせてもらった形となった。


 最後に、「税金はどこへ行った?」比較機能版(児童福祉費比較版)の検討項目を挙げるために、前田氏や会場の皆さんとともに意見交換を行いました。ここでは、皆さんのご意見をハイライトで掲載します。

◉原
・児童福祉費版では、人口規模、世帯規模、施設情報、乳幼児医療費助成などの科目が見られる。
児童福祉費の比較機能を自治体間で比べるきっかけになるといい。
・岐阜県は全市町村やったので、次のステップをどうするか?が課題。

◉前田さん
・市民の目線で見ると、データの「見える化」は必要。エクセルデータが配布されても、字が多すぎて読むのがめんどくさい。
・いかに分かりやすくみせるか?何のために見える化するか?市民に何を感じてほしいか?を考えるべき。
・行政担当課に意見を向けたり、議員を捜して投票して、町を変えていこうなどという、市民のアクションにつながるようになるといい。
・オープンデータといえば「行政データ」といわれているが、ゆくゆくはパーソナルデータや民間企業のデータも組み合わせていくといい。
・ただ、「税金〜?」を見て、「ここの市はダメだ」という判断の指標にはなってほしく

◉清水さん(参加者)
・民間の人はこれらのデータを使って、ビジネスにする。その結果、行政に還元するかはわからないのでは?
・今年はESD(持続可能な開発のための教育)イヤーなので、これを「税金〜?」にからませてもらえると嬉しい。
・行政のテーマやスローガンを出しておくと、その通りになっているかも見られて分かりやすいのでは。
・いずれにしても、「税金〜?」に、行政の取り組みが見える役割があると良い。

◉白松さん(参加者)
・ヴィンテージ版の見せ方について、横軸が時系列でみられるものがあってもいいのではないか。
・去年名古屋で開催した「Spending Data Party」で出た「税金〜?」サイトの活用アイデアは、「そのページから行政に質問できるなど、コミュニケーションの種に使ってはどうか。」というものだった。

◉國枝
ヴィンテージ版の串刺比較はできない。理由は、例えば50年前と今では、全く項目が一致しないから。また、項目が別の費目に動いているものもあるため。

◉石井さん(参加者)
・子どもを施設に預けるときのコストは市町村によって違うので、自治体ごとの費用がわかるといい。
・保育園など、未就学児対象の施設を対象にしたらいいかも。子どもは、小さい時ほどお金も手もかかる。1家族あたり何人の子どもがいるかのデータも分かるといい。


 以上のように皆様から多くのコメントを出していただき、活発な意見交換ができました。


 司会進行を務めた弊社取締役・原からは、「今日頂いた皆さんのご意見を受け、今後追加できるものがあれば追加したい。」、「今後も岐阜、東北でこういった場を設けたい。また、新たな取り組みを岐阜県発で広げていきたい。引き続き一緒にこういった場を持てればと思う。」という言葉で、今年度最後のカフェが閉じられました。

 多くのご参加社の方々のおかげで、弊社の「オープンデータ・カフェ」が開催できたこと、心より感謝致します。皆様、今後ともオープンデータを使って、広めて、役立てていきましょう!ありがとうございました!