2014年3月27日木曜日

【レポート】(3/26)オープンデータカフェ@みやぎ~水産加工業の現場からオープンデータの可能性を学ぶ~

宮城県は、全国でも有数の水産物の漁獲高を誇る。東日本大震災で大きな被害を受けたが、以前のような盛り上がりを戻すべく、水産加工業の方が日々努力している。
そのような中、国のIT戦略本部でも水産加工業×ITが注目され、水産加工業とオープンデータを使ってのトレーサビリティの実証実験が行われている。
 水産加工業×ITといってもなかなかイメージしにくい。そこで、石巻の金華鯖を加工して、鯖寿司として県内外に販売をしている株式会社エムコーポレーションの板橋一樹氏を講師に、同社を一例として、水産加工業の実状をご講演頂いた。

同社は、元々、石巻市で魚の卸をしていたが、仙台が京都に営業に行った際、鯖寿司にほれ、「華ずし」というブランドで鯖寿司の加工と販売を始めた。
まず、鯖寿司の製造過程の説明があった。
鯖の旬は10月である。そこで鯖を仕入れ、包丁いれて塩をまぶすことでその時期の品質が分かるとのこと。その後、サンプルをもらってきって、品質がよければ、200ケース(1ケース20尾)を一度仕入れ、それを34回、繰り返す。その後、1年間、冷凍会社に保管し、その都度、取り出し加工する。米はササニシキを使って仕入れている。コメの卸と農家自体と直接契約して行っている。
実際、鯖寿司の工場は4人の職員で加工を行っている。冷凍した鯖をそのままさばいて、塩入れるという過程を110ケースほど行う。その後、12日骨抜きを行い、もう一度冷凍する。その後、酢漬けして、皮をはいで酢飯と合わせて鯖ずしをつくっていく。
現在、同社で課題として感じているのは在庫量の把握である。鯖寿司の生産について、鯖がなくなってしまうときがあった。生産計画を立てていけばいいが、在庫量がわからないまま、進んでいくということがある。今の在庫管理法は、手書きの紙とFAXで管理している。
販売する商品の製造原価については、400尾つくるのに、5時間かかってつくった場合、そのまま人件費を最終財の価格に乗せている。作業効率が上がれば、それだけ粗利があがる。現在、週12回、原価計算を行っている。人が多く投入すればするほど、原価は下がる。2人で1時間かかっているものを4人投入すれば、半分ではなく4分の1に下がったりする。現場からは人を増やしてほしいという声も上がっている。一番忙しいのは週末の金曜日。スーパーが土日で寿司を売ることが多い。
特殊な技術が必要のため、スポットで入るということは難しい。機械化が進んでいる所はこうした問題はないが、そうではない所は難しい。鯖の仕上がりは、機械でやった時と手作業の差は全然違う。機械によってのロスが出てしまう。
鯖寿司はスポットスポットで食べてもらえるようなもの。いつ注文が来なくなるのかわからない。そのため、人を増やすことには踏ん切りがつかない。
他の課題として、午前寿司、午後鯖きりやろうとしたら、午前中に注文が想定しているより来てしまい、鯖きりできず、在庫がなくなるということもある。これは仲買の業者が業務に謀殺され、注文忘れから起きることのこと。
こうした水産加工業の現状を知ったうえで、華ずしを試食しながら、解決策について参加者で議論を行った。
まず、既に公開されている市場の物流量を示すオープンデータと普段の注文量の記録を行い、その差を比較することで、季節で変動したとしても事前に注文量が予測できる仕組みがつくるのではないかという意見があがった。また、紙で管理している伝票や一時素材(しいたけや昆布)といったものの在庫を把握できるよう、簡単にタブレット端末を使って入力できるようなアプリを開発すれば、業務効率につながるのではという意見も上がった。





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