2014年10月31日金曜日

「オープンの定義(Open Definition)」Version2.0 日本語訳

オープンデータの「オープン」の意味を示す「オープンの定義(Open Definition)」のVersion2.0がリリースされました。当社で作成した日本語仮訳を掲載いたします。

原文:http://opendefinition.org/od/


オープンの定義 Version2.0

”オープンの定義(open definition)”は、誰もが情報に触れることができ、情報の共有が最も活発化されることを目的として、”オープン(open)”という語をここに以下のように定義する。

概要: 知識は誰もが自由に入手、利用、修正、共有できる時、”オープン”な状態であるとする。ただし、情報の発信元が明記され、公共性が保たれている場合に限る。

“オープン”という語の意味は、”オープンソースの定義(Open Source Definition)”に明記されているように”オープン”という語の意味と一致する。又、”オープン”という語は”自由文化作品の定義(Definition of Free Cultural Works)”に明記されているように”free”や”libre”といった語と同義である。”オープンの定義”は元来、”オープンソースの定義”に由来し、”オープンソースの定義”は、”Debian フリーソフトウェアガイドライン(Debian Free Software Guideline)”に由来する。

“作品(work)”という語は伝達される知識の一項目、もしくは一部を意味する。

“ライセンス(license)”という語は、その作品を利用可能にする法律に基づく。また、ライセンスの提供がない場合、作品の使用管理規定が無効化されていると解釈される(例えば著作権またはパブリックドメイン)。

1. オープンな作品
オープンな作品は頒布に際して下記の要件を満たさなければならない。

1.1 オープンライセンス
作品はオープンライセンスの下で利用可能でなければならない(第二セクション参照)。作品に付随するいかなる条件(例えば使用条件、または許諾者が有する特許)もそのライセンスを侵害してはならない。

1.2 入手
利用者は作品の全体を、正当で一時的かつわずかな再生コストで使用でき、インターネットを介して無償でダウンロード可能であるとする。ライセンスコンプライアンスに必要ないかなる付加情報(例えば帰属条件のコンプライアンスのために必要とされる配信者の名前)も作品に付記しなければならない。

1.3 オープンフォーマット
作品は、便利で修正可能な形で提供されなければならず、又ライセンスの保証する権利の行使を妨げる技術的障害がないようにしなければならない。特に、データは機械で読み取ることができ、大量に利用でき、そしてオープンフォーマット(制限や金銭等を課すことなく自由に公開された規格のフォーマット)で提供され、もしくは最低でも、ひとつのフリーなオープンソースのソフトウェア(free/libre/open-source software)を介して変換されるべきである。

2. オープンライセンス
下記の条件を満たしている場合、ライセンスはオープンである。

2.1 許諾事項
ライセンスは、下記に記載されている要項を許可しなければならない。

2.1.1 利用
ライセンスはその許諾を受けた作品に関し、自由な利用を許可しなければならない。

2.1.2 再頒布
ライセンスは、その許諾を受けた作品自身、または様々な作品を集めたパッケージの一部に関わらず、許諾作品の販売を含む再頒布を許可しなければならない。

2.1.3 修正
ライセンスは、その許諾を受けた原本からの描出表現を伴う加筆修正物を頒布することを許可しなければならない。

2.1.4 分離
ライセンスは、その許諾を受けた作品のいかなる部分が利用されること、頒布されること、その他の作品や作品集から修正されることを許可しなければならない。また、ライセンスの許諾を受けたいかなる作品のいかなる部分の頒布を受けた全ての団体は、原本を発行した団体が享受するのと同等の権利を有する。

2.1.5 編集
ライセンスは、その許諾を受けた作品がその他の作品を通じて頒布されることを制限してはならず、これを許可しなければならない。

2.1.6 不当差別の禁止
ライセンスは、特定の個人や団体を差別してはならない。

2.1.7 伝達
ライセンスの許諾を受けた作品に付される権利は、その他のいかなる法律の同意なしに、再頒布された全ての者に適用しなければならない。

2.1.8 適用範囲
ライセンスは、いかなる目的においても使用、再頒布、修正、編集を許可しなければならない。またそれは、いかなる分野でそれを利用するいかなる者に対し、その利用を制限してはならない。 
.
2.1.9 無償利用
ライセンスは、いかなる場合でも、いかなる有償契約、使用料、その他の保証金、金融報酬を課してはならない。

2.2 特例
ライセンスは、次のような状況下以外では、2.1で求められる許可を制限、不明瞭化、縮小してはならない。

2.2.1 帰属
ライセンスは、帰属情報が不明瞭でない限り、作品に貢献者、権利者、出資者、作成者の帰属情報を明記することを要求しても構わない。

2.2.2 完全性
ライセンスは、その許諾を受けた作品の修正版が原本とは異なる名称や異なるバージョン番号を有すること、もしくは別途どんな修正がなされたかを示すことを要求しても構わない。

2.2.3 継承
ライセンスは、その影響下において、その許諾を受けた作品のコピーもしくは加筆修正物が原本に忠実もしくは類似していることを要求しても構わない。

2.2.4 通知
ライセンスは、その許諾を受けた作品の著作権を保持すること、およびそれがライセンスと合致することの証明を要求することができる。

2.2.5 情報源
ライセンスは、作品の更なる修正が可能となるように要求することができる。

2.2.6 技術的制限及び禁止事項
ライセンスは、ある作品の公表によりその他の作品の権利が制限されてしまう場合、その作品の頒布を禁止することができる。

2.2.7 不可侵
ライセンスは、それによって認められた権利を行使する必要がある場合、修正者に追加の公的認可の取得を要求しても構わない(例えば特許等)。また、それは、ある作品が既存の権利を侵害しない場合に限り交付される。


訳文作成)三浦彩(国際教養大学4年)
監修)株式会社CCL

2014年10月30日木曜日

【レポート】第1回オープンデータ・カフェ@大阪

10月24日(金)に大阪でのオープンデータ・カフェのキックオフイベントを開催しました。大阪での立ち上げは、大阪市市民局の「大阪から考えるCivicTech」事業での実施となり、大阪市さんの主催で行われました。

直前のリリースだったにも関わらず、わずか数日で定員が埋まり、急遽の増席。それすらも埋まってしまい、地域の関心の高さがうかがえました。

【追記】動画アーカイブを本記事の下部に掲載しております。あわせてご覧ください。
<開催概要>
「第1回オープンデータ・カフェ@大阪」
大阪から考えるCivicTechとオープンデータ
~市民×ITで地域課題に挑むキックオフ

▼日時:2014年10月24日(金) 19:00-21:00
▼会場:Yahoo!JAPAN大阪 会議室 (大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル27階)

▼定員:40名
▼参加費:無料

▼主催:大阪市
▼企画運営:株式会社CCL

会場の様子。ITエンジニアのほかNPOや社会起業家、
行政職員など、分野問わずお集まりいただきました

大阪市都島区の田畑龍生区長よりごあいさつ


基調講演
「オープンデータで何が起こるのか?~先進地域の最前線」
講師:福島 健一郎氏
(一般社団法人コード・フォー・カナザワ 代表理事/アイパブリッシング株式会社 代表取締役)

田畑区長のごいあさつののち、金沢からお招きしたコード・フォー・カナザワの福島さんに、基調講演を行っていただきました。先進地の事例として、金沢でのCivicTech、オープンデータの取り組みや、Code for Kanazawaの成り立ち、発展などをお話しいただきました。

(一社)コード・フォー・カナザワ代表の福島健一郎さん

全国初のCode forとして立ち上がったCode for Kanazawaは、福島さんを理事長として今年から一般社団も立ち上げ、活動を充実させています。組織やコミュニティの立ち上げに重ねた検討と工夫は、全国のCivicTech活動のお手本としても注目されています。

また、金沢発のアプリ5374.jpも、公開されたソースコードが全国へ広まり、各地のCivicTech活動で活用されています。

福島さんからは、次のようなお話がありました。

【オープンデータについて】
・オープンデータの定義については、「データにだれもが制限なしに利用でき」「再配布も自由」で「機械可読性の高いもの」。地域課題の解決のためにオープンデータを活用するプロセス、その意味について話したい。

・金沢市でもオープンデータはゆっくりながら進めている。施設情報が中心で、アート系のイベント情報も掲載。珍しいところでは「画像オープンデータ」をやっている。観光写真をオープンデータにすることで、パンフレットなどの媒体が作りやすいくなる。

【CivicTechとの関わり】
・こういった動きは、code for Americaが発祥。自分も2012年の春ごろに知ったが、ボストンの消火栓マップ(アプリを使って市民が市内の消火栓位置情報を共有し、自分が名前を付けた消火栓が雪に埋もれないように管理する)の話を聞いて、世の中の課題がITで解決できる、すごい!と思った。

・これまで世の中にいいことしたいなと思っていても、道や公園のゴミ拾いや雑草引きくらいで、そういうのはちょっと…と思っていた。それより自分のITスキルを使って世の中に貢献できればと思っていたが、アメリカでそれができた!だったら自分もやろう!と。

【Code for Kanazawaのポリシーについて】
・必ず自分たちでコードを書き(≒アプリなどのプログラミングを行う)、それで地域の問題を解決することがミッション。

・中立性を確保。特定の自治体や企業と結びつきはしない。(活動地域は石川県全域)

・民間でできる事には手を出さない(安い価格で請け負うなど他の業者の邪魔をしない)

・著作権は自分たちで保有する

【課題解決へ向けて】
・Code for Kanazawaの活動について市民からよくわかってもらえない時期もあり、まずプロダクト(製品)をつくろうとした。ただ「自分達が作りたいものを作るのはCivicTechではない。あくまで課題解決が大事」ということで市民から課題の投稿も受けながらやっている。しかし、課題やその解決のアイデアが見つかっても、使えるデータがなくすぐに取りかかれない事も多くあった。

【5374.jpの広がり】
・その中で出てきたのが「5374(ゴミナシ).jp」というWebアプリ。自分の街のごみの収集日やごみの区分情報が一目でわかるものだが、金沢市役所に言って公開されているデータ(オープンデータではないが)の使用許諾を受けて作成した。

・アプリにはテクノロジーも大事だが、デザインが大事。ごみ関係では他に似たようなアプリはたくさんあったが、見てもらえてない。そのため、デザイン性にこだわり、メンバーが2日間、ハッカソンのように集中して開発した。

・5374.jpは現在50を超える自治体版が現地の有志によりつくられている。その理由は、オープンソース(他でもデータ等入れ換えれば自由に使える)であることヤアプリ運用のためのサーバが不要(=運用にもお金がかからない)こと、シンプルにデザインが良く、扱いやすいところ(この軽量性がシビックテックの良さ)などが考えられる。また、海外でも英語版ができるなど、多言語化も始まっている。

【CivicTechのコミュニティ運営】
・Code for Kanazawaについては、現在、一般社団法人(契約主体にもなり、コミュニティも含め運営の最終責任をとる)とコミュニティ(プロジェクト単位で自由に活動)で構成している。

・シビックテックをやっていて感じる事は、「技術」ありきではないこと。できるだけ簡単・シンプルな方がよい。機能をいっぱいつけても市民には使いにくいだけ。「何ができるか、どう見せるか」にこだわることが大切。また、データドリブンではなく、課題ドリブンであること。市民から必要とされてないものはつくらない。課題解決のために作るべき。だから多くの分野でのオープンデータが必要。

・コミュニティを大事にする。何でも行政や企業に頼らなくとも、自分たちで作れるものは自分で作る。そうするとお金や効率性ありきの話ではなくなる。

【今後の展開】
・オープンデータの力はまだまだこれから。オープンデータを活用したビジネスもこれから。昨年自分の会社が開発したアプリ(気象庁のデータも活用した、災害種類(地震や水害など)に応じて最も近く安全な避難所への誘導支援アプリ。昨年の金沢市アプリコンテストでグランプリ獲得)についても、昨年静岡県内の高校生に協力してもらい観光地での避難訓練に活用した。今後ビジネス化して広げていきたい。

・情報=価値である。インターネットの普及により「情報は自由(free=無償)になりたがっている」が、一方で「情報は高価値(expensive)になりたがっている」とも言われており、正しい方法で適切に使えばものすごく価値があるもの。

・オープンデータがなかなか進まないのは、やはり情報=価値という認識があるからではないか。確かにオープンデータを進めるということは、市役所が権力を手放すことともいえる。しかし、今それを進める事が大事。

・オープンデータと、それをもとに進めるシビックテックは、「人を幸せにできるとても意義あるチャレンジ」であると考える。大阪でもがんばってほしい。

福島さんのご講演内容は、下記スライドをご参照ください。



レポート「大阪発 オープンデータで目指す市民協働の場づくり」
報告者:原 亮(株式会社CCL 取締役)

続いてCCL原より、「大阪から考えるCivicTech」事業での活動概要について説明を行いました。


 
活動予定は本事業WEBサイトおよび当ブログにて公開予定


レポート「地域で立ち上げるCivic Tech ~生駒ではじまった挑戦」
報告者:佐藤 拓也 氏(Code for IKOMA 代表)

続いて、近隣の事例として奈良県生駒市で活動するCode for IKOMA代表の佐藤さんから、生駒での事例紹介を行っていただきました。

Code for IKOMA代表の佐藤拓也さん

Code for IKOMAでは、市役所との協働により「子育てアプリアイデアワークショップ」(主催:生駒市)を開催。子育て世帯の方々が多数集まり、活発にアイデアが出された様子をご紹介いただきました。

佐藤さんからは、以下のお話をいただきました。

・奈良県生駒市で、Code for JAPANの理念に賛同し、2014年1月に設立。これまで「5374.jp」生駒市版、「税金はどこへ行った?」生駒市版、生駒市の天気をつぶやくツイッターなどを制作。

・「地域の課題に注目してその解決を探る中でオープンデータの活用を検討し、アプリ等を開発、運用してまた課題を抽出し…」というサイクルを回しながら進めていく。

・生駒市と連携して、「Iko mama papaアプリ開発プロジェクト」を進めている。生駒市の重点施策である「子育て」に関する課題解決につながるアプリの開発を市民協働で進めていくもの。

・先日(10月18日)その第1弾「子育てアプリアイデアワークショップ」を行った。40名弱の参加で、約150個ものアプリ等のアイデアが出てきた。これは驚異的な数字。参加者の満足度も高く、最後のチームプレゼンも素晴らしく、同席していた生駒市の副市長が「全部市でやりたいくらい」と絶賛。

・今回の取り組みは、生駒市の「市民活動推進センター」との連携で実現。他の市民活動団体との連携も取りながら進めている。また、副市長が主宰する市民グループ「生駒のまちづくりを考える会」でも取組みを紹介、参加を呼び掛けたりもしている。

・今回のイベントの評価が高かったのは、テーマが明確でそれに合った参加者が多かった事、そして当事者目線同士での議論ができた事による。当事者の中に入り、共に議論しながら進める事が大事。

佐藤さんのご講演内容は、下記スライドをご参照ください。


パネルディスカッション
「市民×ITで地域課題に挑むには?~大阪のCivic Techはここで勝負!」
パネリスト:
 福島 健一郎氏
 佐藤 拓也氏
 田畑 龍生氏
 新井 イスマイル氏(明石工業高等専門学校 講師)
モデレーター:原 亮

後半は、明石高専の新井先生にもお入りいただき、会場のみなさまとともに、大阪でCivicTechの活動を展開するためのディスカッションを行いました。

冒頭は参加者のみなさん同士での感想・意見のシェア。
2人1組で2分間の意見交換です

新井先生からは、高専の学生たちのよるCivicTech活動、Code for KOSENの取り組みについてご紹介いただきました。

明石高等専門学校講師の新井イスマイルさん(左から2人目)

高専生の世代にとって、「地域課題」は、どうしても自分ではなく、他人事。それを「ジブンゴト」にして解決することのすごさを知ってほしいと思い始めたそうです。なので、活動の初めは「自分事」である「学校の時間割や行事」から着手。その後、全国の高専に輪が広がり、高専55校中19校、38人が参加をしているそうです。

Code for KOSENの活動紹介


ディスカッションでは、以下のようなやりとりが行われました。

Q:エンジニアとして、なぜシビックテックの活動に参加するのか?

(福島氏)
・元々ボランティアとか全くするタイプではなかった。雑草引きとかも面倒臭い、という感じ。自分のスキルを活かせる、自分のスキルで世の中をよくできる、というのがモチベーション。世の中のためなら、会社で良い製品を開発するということも考えられるが会社はどうしても営利優先。お金が絡まないところでやれるのがシビックテックのいいところ。

(司会)
・福島さんは会社経営者でもあるが、非営利という点でもどかしさはなかったか?

(福島氏)
・今自分がやっている事が本当に役に立っているのか?という葛藤はある。ただ、先ほども言ったが「単に安価で仕事を請けることはしない」というポリシーはもちながらやっている。

(司会)
・高専生を巻き込む際に「いける」という予感はあったか?

(新井氏)
・高専生はスキルはあってもこれまで「コードを書く」と言っても学内限りの公表で、たまにコンテストに出てくらいで外の世界を知らない。これではもったいない、という問題意識があった。自分の技術力がどこまで世の中の役に立つか、学校の外に出て知ろう!というのがアイデアソン・ハッカソン。小さいところから少しずつ進めてきている。

(司会)
 ・「役に立つ」ことによって、彼らに自信や自己肯定感が生まれてくるという事もあるのか。

(新井氏)
・それはある。彼らはお金で釣っても乗ってこない。「どれくらい反響があるか?」というところに高いモチベーションを感じているようだ。

(司会)
・佐藤さんは仙台出身で大阪在勤。生駒でシビックテックを立ち上げたのはなぜか。

(佐藤氏)
・元々は東日本大震災の復興支援でハッカソンとかに参加したのが始まり。防災をテーマにしたハッカソンを勤務する会社で開催した際にCode for JAPANの関治之さんと会った。震災復興や防災ではデータが役に立つが普段の生活にも役立つという事を教わった。

・震災当時、グーグルなどのIT企業なども被災地支援・人命救助に役立つような、さまざまなITサービスを立ち上げていた(パーソンファインダーなど生き残った人たちが繋がれるためのもの等)が、そのサービスを作っていくエンジニア達は利用可能なデータが全くと言っていいほど無く、ショックを受けたと聞いた。仙台出身の自分としては今回の震災の経験を生かしていくべきとの思いから生駒での活動をスタートさせた。

Q:スキルを地域のために役立てたいという動きがある中で、行政はどう関わるべきと考えるか。

(田畑区長)
 ・ぜひ、地域でもこういう活動が進んでいってほしいと思う。ただ概念ではわかりづらいので今回の取り組みで早くプロトタイプを作って、それを見せながら進めたい。大阪にはコミュニティをまとめるコミュニティがあるのも特徴。「大阪を変える100人会議」などNPOのコミュニティもある。そんなところからも概念を伝えて進めていければ。

(司会)
・その100人会議のメンバーの方も来られているが、どんな団体か教えてほしい。IT関係の人もいるのか。

(会場より)
・大阪を変える100人会議は、大阪府内で地域課題を解決するため活動するNPOや社会起業家の集団。メンバーの中にはIT関係の起業家もいる。ぜひ、連携したい。

Q:アイデアソン、ハッカソンはその場は盛り上がるけど、そのあと何も残らない…という事がよくある。その中で、ハッカソンの有効性を何に見出すのか。

(福島氏)
・確かにその場限りとか、成果物としてのクオリティがどう?という部分はある。ただ、盛り上がってチームができたり「何かやろう」という意識が生まれたりしている。(ハッカソンで)一度集まったエネルギーが、その後半分でも残っていってまた次の時に新たな人が入る、そういう人をつなぐ場として続けていくことが大事なのでは。

(新井氏)
・ハッカソンはエンジニア主体でやるとどうしても「思い込み」や「他人事」、当事者性がなく偏見も感じられるようなものになり、本当に困っていることのポイントがずれていることも。その意味で、今年の8月末に行われた「Civic Hack Osaka2014」(以下「CHO2014」)では公務員と一緒にハッカソンをすることで本当の課題を聞くことができ、有益だった。

(佐藤氏)
・テーマに対してどれだけ「ジブンゴト」に感じられるかが大事なんだと思う。そのためにはテーマに合った人がいかに出るかが大事。ハッカソンには成果物のクオリティで限界もある。その先を「code for」のチームが形にしていけばよいのではないかと思う。

(司会)
・CHO2014での成果物が最終的にアプリになったという話を聞いた。開発に携わられた方も来ておられると聞いている。少し話を伺いたい。

(会場より)
・大阪市HPの新着情報をその人の属性や興味に応じて選択しプッシュ通知でお知らせする「PUSH大阪」というアプリを開発した。現在iOS版がAppstoreでダウンロードできる。

(司会)
・CHO2014は、行政職員が参加する初めてのアイデアソン・ハッカソンだったが、PUSH大阪以外にもとても面白いサービスやアプリが生まれ、とても充実したものだった。

・そこで気づいたことだが、行政と市民の関わり方は、これまでは「クレーム」や「注文」といったものが多かった。そうではなく、その枠組みを壊し、みんなで作り上げていく、一緒に考えていくということが大事なんだ、と。これをイベント以外の手法でどう取り入れていくのかが課題。

Q:オープンデータについては、素材はこれから出していくことになるが、やみくもに出していけというのではしんどい。自治体との関係はどうか?

(福島氏)
・金沢市とは少なくとも月1回以上は話している。お願いや相談もしていくが、場合によって「主管課の判断が必要なので待ってほしい」「やっぱり出せない」というような話もある。

(佐藤氏)
 ・生駒市へは、5374.jpを作った際に「市長へのメール」で市長に訴えた。そこで市民協働担当部署につないでもらった。先日の子育てアプリの件も、データの提供も含め一緒にやっていこうというスタンス。

Q:シビックテックで先行した取組みを進めているのは、中小の地方自治体。東京は技術者は多いがそういう動きはまだ見えない。大都市だと規模的に地域の問題は見えにくいというのもあるかもしれないが、その中で大都市である大阪市はどう取り組むべきか?

(田畑区長)
・課題にもよると思う。例えば防災関係だと湾岸部の区とそれ以外の区では全く課題が異なる。課題によって、区ごとや複数区にまたがって取り組む…など色々やり方はあると思う。

(福島氏)
・Code for Kanazawaの活動範囲は石川県全域。自治体の規模、というよりその課題を「ジブンゴト」と感じられる距離感が大事ではないか。

(会場より)
 ・ボストンの消火栓など、とても素晴らしいと思うが大阪と比べたら市民意識の差というものもあるように思う。生駒の子育てアプリも「便利である」と「子育ての課題解決」というところには少しギャップがあるのではないか。

・佐藤さんの言う「とんがった市民」だけではなく、マンションにこもっているような住民もアプリを使う事で「単なる行政サービスの消費者」ではなく「公共に参加する市民」にするように巻き込んでいけるようなアプリが開発される事を望んでいる。

(新井氏)
・地域課題解決したいメンバーは、あちこちにいる。NPO とエンジニアを結びつけられれば、行政から少しだけお金をもらってできればいいのではないか。そういう層の厚いところにエンジニアが入っていくことが大事。大阪には可能性があると思う。

Q:最後に大阪へのエールを、田畑区長はそれを受けての今後の決意を

(佐藤氏)
・大阪市は大阪イノベーションハブを中心にハッカソンなどが盛り上がっている。ゆるい感じも出しながら進めていってほしい。

(新井氏)
・大都市は豊かな税収があるとはいえ、今後はすべて行政主導で課題解決できない時代に来ている。市民協働というのは段階的に「市民への権限委任」「市民による管理」に向かっていく、とアーンスタインが40年以上前に提言している(『住民参加の梯子』)が、そういう時代を見据え先手をとって動いていく大阪市であってほしい。

(福島氏)
 ・大阪は大都市。いろんな分野のコミュニティがたくさんある。これまでcode for…の活動が起こってないのが不思議なくらい。ポテンシャルはあるはず。今回のイベントもあっという間に定員が埋まったと聞く。cfKはまだ発足1年だが、できたことはたくさんあった。大阪市も来年の今頃はたくさんの成果物が生まれる事を期待している。

(田畑区長)
 ・回転すしのシステムは大阪が発祥。一度「おもろい」というスイッチが入ったらぱっと広がるという特性があるのが大阪。

・オープンデータも他都市と連携しながら進めたい。オープンデータの様式を統一するなどして、同じアプリがどの都市でも使えるようにやっていきたい。

・これから様々な取り組みを進めていくが、皆さんとのコミュニケーションも大事にしながら進めていきたいのでよろしくお願いしたい。


大阪での取り組みに向けて、様々な意見が出た今回のオープンデータ・カフェ。参加者のみなさまからのアンケートでも多数のご意見をいただきました。後日記事をリリースしてまいります。

また、当日の動画アーカイブは以下をご参照ください。



今後の大阪でのCivicTechの活動にご期待ください。

2014年10月15日水曜日

【定員御礼】「第1回オープンデータ・カフェ@大阪」開催のご案内

「第1回オープンデータ・カフェ@大阪」
大阪から考えるCivicTechとオープンデータ
~市民×ITで地域課題に挑むキックオフ


【定員到達のため、申し込みを締め切りました。多数のお申込み、ありがとうございました】

ITを活用したまちづくりの新しいスタイルが、全国で立ち上がり始めています。

生活、防災、観光、健康福祉など、さまざまな分野で、スマホアプリやWEBサイトを、市民とIT技術者やデザイナー、そして行政がともにサービスとして作り上げ、地域課題の解決をはかる新しいスタイルです。

行政の情報を自由に活用できる「オープンデータ」やIT技術者やデザイナーが地域のためにスキルを活かす「Civic Tech」について、考え方や事例の紹介を行い、みなさんと一緒に大阪でできる次の一歩を考えるセミナーです。

▼日時:2014年10月24日(金) 19:00-21:00
▼会場:Yahoo!JAPAN大阪 会議室(大阪市北区小松原町2-4 大阪富国生命ビル27階)

▼定員:40名(要事前申込・締切済)
▼参加費:無料

▼主催:大阪市
▼企画運営:株式会社CCL
▼協力:Fandroid KANSAI

▼参加申し込み
下記リンク先のフォームよりお申込みください。
(定員のため締め切りました)

▼プログラム
19:00 開会

19:00-19:10 あいさつ
 田畑 龍生(大阪市 都島区長/区長会議ICTプロジェクトチームリーダー)

19:10-19:50 基調講演
「オープンデータで何が起こるのか?~先進地域の最前線」
 福島 健一郎氏(一般社団法人コード・フォー・カナザワ 代表理事/アイパブリッシング株式会社 代表取締役)

19:50-20:20 レポート
「大阪発 オープンデータで目指す市民協働の場づくり」
 原 亮(株式会社CCL 取締役)
「地域で立ち上げるCivic Tech ~生駒ではじまった挑戦」
 佐藤 拓也 氏(Code for IKOMA 代表)

20:20-20:55 パネルディスカッション
「市民×ITで地域課題に挑むには?~大阪のCivic Techはここで勝負!」
[パネリスト]福島 健一郎氏、佐藤 拓也氏、田畑 龍生氏、新井 イスマイル氏(明石工業高等専門学校 講師)
[モデレーター]原 亮

20:55-21:00 ご案内

21:00 閉会

▼スピーカー紹介
福島 健一郎 氏(ふくしま けんいちろう)
1971年生。アイパブリッシング株式会社代表取締役、一般社団法人コード・フォー・カナザワ代表理事、富山大学芸術文化学部非常勤講師。モバイル時代のコンテンツ、ITサービスの開発に取り組んでいる。また、石川県を中心にオープンデータ、オープンガバメントに取り組み、地域課題を技術で解決するシビックテクノロジストとしても活動。Code for Kanazawa発での取り組みとして、地域でのゴミ収集を取り上げたアプリ「5374.jp」の活用が、全国で広がっている。

佐藤 拓也 氏(さとう たくや)
1983年生。仙台市出身。大阪の民間気象会社でエンジニアとして勤務する傍ら、関西でのITコミュニティ活動にも注力。東北と関西をつなぐFandroid KANSAIを立ち上げ、防災×ITのワークショップを仕掛けたほか、居住地の奈良県生駒市では、Code for IKOMAとして活動を開始。ITを活用した地域活性化での貢献を展開している。

新井 イスマイル 氏(あらい いすまいる)
明石工業高等専門学校 電気情報工学科講師
奈良先端科学技術大学院大学在学時より、オープンデータの要素技術となる、セマンティックWebの研究開発に従事している。2014年1月には、教育機関では初となるオープン学務データを明石高専から公開。同月、Code for KOSENを創設。高専生がITとデザインの力で、「こうしたい!」を実現する組織として、全国の高専の教員・学生たちの有志とともに、Civic Techの活動を展開している。

原 亮(はら りょう)
株式会社CCL 取締役/Fandroid EAST JAPAN 理事長
1974年生。東京都品川区出身。編集者・ライターを経て、仙台にてモバイルコンテンツの制作会社へ。営業、ディレクター、取締役等を歴任し、フリーへ転身。以後、東北を拠点に、地元行政や企業と各種団体で、地方×モバイルで飛躍できるプレーヤーを輩出する活動を継続。ITイベントの開催等を通じて、東北と全国の地域間連携や、ハッカソンの企画・運営なども手がけている。

※プログラムは一部変更になる場合があります。

2014年10月7日火曜日

「第1回あきたITシーズマッチングクラブ」開催のご案内

秋田のITビジネスを支える応援団を結成!

秋田県では、県内情報関連事業者と本県に縁のある首都圏在住IT関係者との人材交流を図るため、「あきたITシーズマッチングクラブ」を開催します。

第1回となる今回は、キックオフイベントとして、秋田県の地元IT企業や五城目町職員などが東京に集います。

秋田県内の情報関連産業の動きや秋田県のIT企業にご関心、ご縁のあるみなさまのご参加をお待ち申し上げております。

▼日時:2014年10月28日(火)18:30-21:30 ※開場18:00
▼会場:fune(フネ)
 (東京都千代田区神田錦町3-21 ちよだプラットフォームスクウェア1F)
▼定員:50名

▼参加費:4,000円(交流会での飲食代)※要事前申込

▼参加申込
下記リンク先のフォームよりお申込みください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/35149e6a288147

▼主催:秋田県
▼共催:五城目町
▼企画・運営:株式会社CCL
▼協力:Fandroid EAST JAPAN秋田県支部

▼プログラム(予定)
18:30-19:00
 県産業労働部商業貿易課長あいさつ
 県からのお知らせ(商業貿易課情報産業班)
 五城目町の取組紹介

19:00-19:30 県内IT企業のPR(5社)
 参加企業(順不同)
 有限会社伊藤ソフトデザイン
 株式会社うぶすな 秋田営業所
 株式会社オクトライズ
 株式会社デジタル・ウント・メア
 株式会社フォチューナ

19:30-21:30 交流会(飲食あり/立食形式)

※JAPAN IT Week(秋)出展のご案内
本イベントに参加する県内IT企業5社で、10月29日から31日まで幕張メッセで開催されるJAPAN IT Week(秋)「第4回スマートフォン&モバイルEXPO」秋田県ブースに共同出展します。あわせてご来場をお待ちしております。
「第4回スマートフォン&モバイルEXPO」WEBサイト


2014年10月4日土曜日

「旅人」という職種

9月からCCLに新しい仲間が加わりました。で、彼女の名刺。肩書をご覧ください。




旅人見習い Lv.1。


旅人です。その見習いです。で、Lv.1です。


CCLは地域に根差し、地域の人たちが活躍できる場を生むための活動を、いろいろと展開しています。

盛岡に本社を置きながら、活動範囲はご縁のあるところ、どこにでも飛んでいきます。

昨年の岐阜県のオープンデータ事業では、大垣、東京、会津、仙台、盛岡で仲間を募り、各地でオープンデータの取り組みを一斉にお手伝いさせていただきました。

その後、彼らは自分たちの地域で、それぞれの仕事や活動を起こし、地域で活躍をはじめています。


それぞれの地場で人や地域の宝物をみんなで見つけて、活動を起こしていく。それは、地域の中で、地域の人たちが主役となって進めていくもの。


私たちCCLは、そこに風を吹き込む役なのかもしれません。

風は、その場の空気をかきまぜます。

風は、外から違った温度を吹き込みます。

風は、目の前の視界を閉ざす霧を吹き払います。


何年か活動を展開してみて、離れた地域と地域を渡り歩き、つなぐことの面白さも見えてきました。

似たような課題を持った地域で、お互いにヒントを出し合えないか。

互いにないものを真似しあったら、双方の取り組みが加速するのではないか。

遠く離れたあの人同士をつないだら、意気投合してそれぞれ地元で何か仕掛けだすんじゃないか。


そういう流れが期待されるとしたら、それぞれの土地を歩き、つなぐ媒介となる人の存在が重要になってきます。

インターネットで情報はいくらでも取れる時代です。が、その土地で味わう雰囲気、その土地の人から聞くココだけの話、対面だから響きあうココロとそこから生まれる勢い、、、そうしたものは、やはり現地に足を運ばないと、なかなか得られせん。

そこで得たつながりを、別な地域にも伝え、風として吹き込んでいく。

旅人の役割です。


交通や通信が今ほど発達していなかった頃、全国を行脚することを生業としていた人々は、渡り歩いた土地土地で、そこで暮らす人々が知らない情報をもたらす役割を担っていたはずです。

旅行に出かけた人が帰ってきたら、留守を守っていた人々には、その人が見聞した話を聞くのが、何よりの土産だったことは、想像に難くありません。


そして現代。

交通や通信に加え、それらを駆使した「旅人」が、人や情報で地域と地域をつなぐ時代が来ました。

東京が最大のハブとして一極集中で機能してきた日本の近代化。情報もトレンドも、東京から、あるいは東京経由で流れてきた。その先にあるいま、あらゆる現象やできごとはローカルから生まれ、それは東京を介した目だけでは、とても追い切れないし、見抜けない。

私たちの社会は、東京発・東京経由に依存しすぎる仕組みを越え、地域と地域が独自につながり、学びあい、競い合い、自分たちで決断をする社会へ向かうべき時に至ったと考えます。


そのお手伝いをする媒介役として、CCLでは旅人という職種を作りました。

横山真美は、見習いのLv.1からスタートです。

5,000㎞移動するたびにレベルが1つ上がり、およそ地球2周分、80,000km移動すると「旅人見習い」から「旅人」に昇格します。その先は、たぶん、勝屋久さんのような「プロフェッショナルコネクター」へのキャリアパス(?)が待っているはずです。

横山の名刺にあるメアドとケータイ番号は、ぜひ本人から直接名刺を受け取って、ゲットしてください。久しぶりにお会いいただく方も、都度、名刺をもらってください。2か月も間をあければ、レベルがあがっているはずです。



旅人見習いの横山と旅人企業CCLを、今後どうぞごひいきに!

「地域資源×ITマッチングワークショップ」開催のお知らせ

青森県主催のハッカソン。次回テーマは「地域資源」。青森の豊かな地域資源をフル活用したアプリを作り上げる2泊3日のサービス創出イベントです。

今回はプレイベントなども盛りだくさん。詳細は後日リリースいたします。

▼日時:2015年1月16日(金)13:00-18日(日)17:00
▼会場:ねぶたの家 ワ・ラッセ 交流学習室1・2・3
   (青森市安方1丁目1-1 JR青森駅徒歩1分)
アクセス http://www.nebuta.or.jp/warasse/access.html

▼参加対象者
ITエンジニア(フロント・サーバー問わず歓迎!)
デザイナー
地域資源活用とIT利活用に関心のある各種事業者

▼主催:青森県、新時代ITビジネス研究会、青森県クラウド事業化促進部会
▼企画:株式会社CCL(受託事業者)
▼運営:株式会社サン・コンピュータ
▼協力:Fandroid EAST JAPAN青森県支部

※本イベントは平成26年青森県「地域課題ITソリューション提案ワークショップ」にて開催するものです。