1. 食事はだれが提供するの?
大きくわけると以下の2つの選択になります。(1)参加者が各自持参or食べに出る
(2)主催者側で用意をする
それぞれの特徴を見てみましょう。
(1)参加者が各自持参or食べに出る
運営の負荷が少ないのが、参加者各自で済ませてもらうパターンです。岐阜のソフトピアで開催したときは、近隣のお店やコンビニで各自済ませる方法を取りました。近くに、ソフトピアに出入りするエンジニアたち御用達の台湾料理店「龍香苑」があるのも助かります。
ソフトピア入居者御用達「龍香苑 大垣今宿店」
(参照)龍香苑 −BCN Bizline「行きつけの店」紹介記事
Ogaki Developer Dayでは、初日の夜にここで交流会を行うようです。近所に席を多めに確保できるお店があると、こういうスタイルも企画しやすくなります。
参加者が各自で食事を済ませる場合には、近隣の飲食店やコンビニなどのアクセスマップなどを用意すると、参加者にはわかりやすいと思います。
(2)主催者側で用意をする
主催者側で用意する場合、さらに参加者が自己負担するケースと、主催者が無料で提供するケースに分かれます。企業主催のハッカソンの場合、食事は主催者側で提供するパターンが見られます。CCLが青森で開催した際は、参加者が自己負担する形を選びました。
会場近隣に飲食できるお店がない場合、運営側で手配する必要が生じます。青森公立大学で開催したときは、このパターンでした。休日に施設を借りたため、学校の食堂などもお休みで、学校自体も山の中腹だったため、参加者が自力で食事に出るには、車で出かける必要がありました。
自然に囲まれた会場では食事の確保に注意が必要
食事の移動に時間がかかりすぎるのは、時間との競争になるようなハッカソンには不向きです。このときは、夜はケータリング、昼は弁当手配、朝は事前にスーパーで買い集めたおにぎりやパンなどを提供しました。
宿泊施設に食事のサービスがある場合は、あわせて利用するのがおすすめです。温泉宿で開催した際は、参加者の負担額はあがりますが、食事は質・量とも確かだし、何より運営側の手間が格段に減ります。
企業が主催する場合は、主催者が無料で提供することがあります。NTTドコモ×NTTドコモ・ベンチャーズが主催したハッカソンでは、食事はケータリングや弁当を手配して、参加者は費用負担なく食事を取ることができました。
2. 朝・昼・晩、どのように提供すれば?
食事を運営側で手配する場合、内容をどうするかが次の考えどころです。日程をまたぐ場合、複数日での食事になるので、回数もかさみます。また、参加者にもよるでしょうが、どのイベントでも、食事の良し悪しはイベントそのものへの評価にも直結してしまうこともあるので、それなりの気配りが必要です。
(1)朝食をどうするか
宿泊型で開催する場合、直食の手配が必要となります。ハッカソンだと、深夜まで開発に挑んでいる人も出るので、朝食はあまり重くないほうがよいかもしれません。前述の青森での開催では、おにぎりやパンなどを用意しました。ただし、普段から朝食をしっかり取られる方がいる場合、朝を簡単にすると不満が出る可能性があるので注意が必要です。
栄養を考慮し、かつ重くないものというバランス感覚が求められるでしょう。
買い出しのときは炭水化物に偏らないよう注意!
(2)昼食をどうするか
過去の開催では、いずれもお弁当を手配するという手段を取りました。昼食が必要になるタイミングは、いずれも開発真っ最中の時間帯であることが多いでしょうから、自席で取れる食事が好まれるはずです。
好みにあわせて複数のお弁当から選べる形式も
(3)夕食をどうするか
夕食は、交流会を兼ねて行うこともあるので、ケータリングで立食形式という選択肢もありです。3日開催の2日目は、開発が佳境に入っている時間帯なので、昼食同様、簡単にお弁当などの手段もありかと思いますが、お昼とのメリハリをつけるなどの工夫も要検討です。同じパターンの食事が2,3食と続くと、参加者が飽きてしまうかもしれません。
ホテルのケータリングだとごはんや汁物を暖かい状態でとれることも
3. 食事へのこだわりをどうするか
開催地やテーマにあわせて、特色ある料理や提供方法なども工夫のしどころ。主に夕食の場合になるかと思いますが、過去携わったハッカソンでのケースをいくつかご紹介します。(1)「いなかソン」(秋田県五城目町)の場合
「秋田の田舎で廃校ハック」というサブタイトルも打ったとおり、その土地の田舎っぽさ(=郷土性)を前面に2日間の日程で企画をしました。初日の夜は、地元の人と他地域からの来訪者との交流会です。地元の味を堪能してもらおうということで、開催地、五城目町の郷土料理「だまこ鍋」などを会費徴収でふるまいました。田舎で開催するときのいい点は、地元の有志の方々が差し入れなども持ち寄ってくれること。おいしい地酒も入り、楽しい宴席となりました。
郷土の味を楽しめるのも地域の醍醐味
開発者のみなさんは、お酒も堪能したのち、気分よく徹夜の作業に突入していきました。
(2)「農業×ITマッチングワークショップ」(青森市・浅虫温泉)の場合
こちらは雪国青森の温泉宿で旅気分も味わおうということで、食事はすべて旅館の料理。座敷にお膳の旅館スタイルで、地元食材なども用いた夕食をいただきました。初日は宴会、2日目は事務局で時間を区切って、チーム毎に召し上がっていただきました。旅館の食事なので、種類も量も豊富でした。
旅館スタイルでの夕食。味、品数、ボリュームと文句なし
(3) イトナブ「石巻ハッカソン」(宮城県石巻市)の場合
こちらもいなかソン同様、学校の校舎を使っての開催。調理室を使って、お昼には参加者有志の手作りカレーが振る舞われました。技術者たちのアプリづくりに負けじと、“調理室ハック”でカレーづくりを楽しむ集団が現れました。
調理室が使える学校ならでは。衛生管理は自己責任で!
(4) NTTドコモ×NTTドコモ・ベンチャーズ「デバイスハッカソン」(東京・赤坂)の場合
こちらのケースでは、ケーターリングも、都会らしく洗練された内容。著名人のパーティなどでも腕を振るうシェフによるケータリング専門のサービスを利用して、パーティ会場さながらのメニューをご用意いただきました。
社名ロゴ入りデザートも。イケメンシェフと“フードメンター”も登場
企業主催の場合、参加者を食事でもてなす意図も強くなるので、企業によってはそのような力の入れ方にもなり得ます。
4. 数量をどうするか
参加者によって食べたり、食べなかったり、また、参加人数が土壇場で変わったり、食事の数はなかなか定まりません。なので、少し余分に手配をしておくのが無難です。お弁当などは、1つだけでは食べ足りないという人もいるので、余った分は欲しい方にわけるなど、うまくさばきましょう。逆に足りなくなってしまうと、近場で食事ができない場所では、フォローのしようがありません。食事は、運営スタッフも同じ内容にしましょう。そして、手配したものは先に参加者に配り、足りない分は運営スタッフがかぶるようにします。
弁当は多めに手配するのがコツ。
中途半端な時間にお腹を空かせる人もいるので数個の余りなら問題なし
運営スタッフ分であれば、足りなくなっても、午後の合間に食べに出させるなど、つじつまをあわせることができるはずです。
5. アルコールは入る?入らない?
基本的に、夕食後も開発を進めていたり、ワークが続きますので、それを想定した判断が必要です。初日の夕食が交流会を兼ねている場合は、ビールなどを手配することもあります。ただし、完全に酔ってしまってはあとの作業に支障が出ますので、手配する分量は口を湿らす程度にしたほうがよいかもしれません。
出すタイミングが問題。
飲まない人も多いので、ソフトドリンクの手配も必要
また、主催者側の判断で、飲酒NGとなるケースもあるので、事前に確認をしておくことをおすすめします。
ハッカソンとは異なりますが、StartupWeekendでも3日間54時間のうち、7度の食事が運営側から提供されます。特徴的なのは、最初の食事となる初日の夕食。StartupWeekendは、金曜夜にスタートになりますが、開始と同時にまず、ビールとピザで乾杯をするのがスタイル。
StartupWeekend Sendaiの様子
日本の場合、イベント終了後に交流会をセットして、そこでアルコールを入れることが大半かと思いますが、StartupWeekendでは最初にビールで乾杯をして、参加者の緊張をほぐし、場をあたためます。他のイベントと比べても、その後の参加者の熱量の大きさを感じるので、他のイベントでも取り入れても有効な手段になるかもしれません。
6. 手弁当スタイルだっていいじゃないか
運営側も参加者も、できるだけ費用をかけずに開催したいという場合は、食事もできるだけ安く、手軽に済ませるのがよいと思います。文字通り”手弁当”です。
ハッカソンでの食事とは、連続した時間で開催する以上、“腹が減っては戦はできぬ”なので、基本的な備えとして運営側が検討すべき必須項目のひとつです。
しかし、食事への気配りや力の入れ加減が、参加者の意欲を高めるための演出にもつながる反面、食事がどのくらい大きく作用するかは、人それぞれです。大切なのは、参加者ひとりひとりの方が“作りたい!”という情熱を強く持つことであり、運営側はその情熱を高めるためのサポート役です。
参加者の意欲を高い水準で保つために、食事に限らず、さなざまな環境整備に手を尽くすことで、参加者に運営側の心意気が伝わるような場づくりを心がけていきたいものです。
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