2014年5月27日火曜日

【レポート】 asobi基地@あきた 〜大人もこどもも、遊んで・話して・対決だ!〜

525日、五城目町地域活性化支援センター(秋田県五城目町)で開催された「asobi基地@あきた 〜大人もこどもも、遊んで・話して・対決だ!〜」に参加してきました。

首都圏で話題のasobi基地が、初めて秋田に上陸!

地元、五城目町はもちろん、県内他市町村、そして、首都圏からも参加者が集い、総勢100名を超える子どもと大人が地域素材を使った自由で創造的な遊びの空間を堪能した!

asobi基地in秋田の当日の様子(クリックしてください)





asobi基地は、「オトナもコドモもみんなが平等な場所 」をテーマに、園にいっていない子どもとそのママパパ、違う園に行っている子どもとママパパ、これから子どもを産むママとパパ、誰でも自由にアクセスできる新しい形の育児支援の場所として立ち上げられました。

asobi基地のホームぺージ(クリックしてください)

子どもの支援というと、どちらかといえば、子どもの安全が重視され、けがをしないように、いろいろなルールが決められることが多い。
例えば、「危ないから、○○はしちゃいけない」、「ケガをしたら困るから、できるだけ安全な遊びだけをする」など。

しかし、こうした対応は、子ども目線というよりも、大人や子どもを保護する側の視点が重視されており、子どもが本来持つ力を引き出すための環境ではない。

そんな中、asobi基地は、子どもが本来持つ力を引き出すための環境の提供と、遊びを通じて気軽に育児の相談を専門家(保育士や児童精神科医、カウンセラーなど)に出来る機会を提供し、子どもだけではなく、大人が安心して、本音で子育ての悩みを話し合えるコミュニティとして機能しています。


asobi基地の特徴は、その場に集まる参加者の多様性にもあります。
ママとパパ、妊婦さん、カップルや学生。
アーティストやクリエーター、デザイナー、会社員。
子どもや赤ちゃん。
保育士や子育てに関わる専門家。

参加するすべての人が、人間としてありのままに過ごし、それをみんなが受け入れる。「自分」を大事にしながらも、他者を尊重し、共感しながら子育てをしていくことが目指されています。

そんな新しい育児支援の場所であるasobi基地には4つのルールがあります。
・大人も子どもも全ての人が平等。
・否定する言葉は使用禁止。
・何か言う前に大人も子どもと同じ目線になり、やってみる。
・自分の価値観を押し付けずにフェアに対応する。



秋田県五城目町で開催されたasobi基地は、下記のようなプログラムで進められました。

<タイムスケジュール>
11:00〜 会場オープン
[子ども&大人] asobi基地で遊ぶ

13:0014:00
[子ども] asobi基地で遊ぶ
[大人] 子育てに関する対話の時間(自由参加)

■スピーチ
テーマ:「保育士に学ぶ!こどもとよりよくコミュニケーションを取るコツ!」
スピーカー: 小笠原舞(asobi基地代表、保育士)

■対話の時間
テーマ: 子育てに関する悩みを共有する
ファシリテーター: 小澤 いぶき(こども精神科医、asobi基地副代表)
サポート: 丑田香澄(一般社団法人ドゥーラ協会代表理事http://www.doulajapan.com/ 、五城目町地域おこし協力隊員)

14:30〜 asobi合戦!〜大人と子どものasobi対決!〜

16:00 終了

今回主催したのは、五城目地域活性化支援センターに入居する、ハバタク株式会社とasobi基地。


運営にはasobi基地のスタッフが東京から駆けつけ、五城目町からは、地域おこし協力隊の3人、()CCLスタッフ、イベントの告知を見て協力を名乗り出た、秋田で活動する若者が担当した。


asobi基地では、身近にある素材を使い、みんなで遊びを創り出していくところが特徴だが、今回はそれに加え、地元企業や地元の有志、そして、運営メンバーとゆかりのある仲間、五城目町役場から素材提供を受け、また、地元マスコミによる広報協力や地域の学校や保育園がイベントチラシの配布を協力してくれるといった様々な人や組織の協力で開催までこぎつけたところにも特徴が見受けられました。






例えば、当日使用された素材は以下のようなものがありました

・ジーンズ切れ端(EDWIN縫製等の秋田ホーセ()様)
・木材廃材、木端(集成材・天井版製造販売等の()宮盛様)
・ダンボール、気泡緩衝材(コダマ写真館様)
・お米(北秋田市・トラ男様) ※出荷できないお米を今回は特別に提供


11時に会場がオープンし、体育館に足を踏み入れると子どもたちは一斉に走り出し、思い思いに自分が好きな素材で遊びだす。


 事前にスタッフがそれぞれの素材ごとにあそび場を作っていたが、それを子どもたちがどんどん自由にオリジナルのあそび場に変えていく。

ジーンズの切れ端をみんなで引っ張り合ったり、寝転んで体に巻き付けてみたり。

お米が敷き詰められたダンボールの箱の中に入って、お米を踏んだり、触ったり、頭からかぶってみたり、投げ合ってみたり。

新聞とプチプチ(気泡緩衝材)でできたプールに入って、破ったり、踏みつけたり、埋まってみたり。

木端を積み木のように積み上げては崩したり、並べてドミノをやったり、ボーリングのような遊びをしたり。

ダンボールでできた迷路で遊んだり。

ダンボールをキャタピラのようにして体育館を疾走したり。

クレソンで自由に絵を書いたり、絵の具で遊んだり。


新聞紙を丸めてボールにして投げ合ったり、サッカーしたり。



当日の写真はこちら!(クリックしてください)


参加者が口々にしていたのは、

「ほんと自然な笑顔になっている」
「こんなにはしゃいでいる姿を見るのが久し振り」

といった声でした。

そして、一緒に作業しながら、保育士に相談できることも新鮮とのことで、asobi基地が目指しているねらい通り、参加者が新たな気づきを得る機会となっていました。



今回、そんなasobi基地の企画から準備、運営のプロセスをそばで見させていただくというめちゃくちゃ豪華な体験をさせていただいて、新しい領域についての知見はもちろん、まちづくりを進めるうえで、そして、いろいろな企業の支援をする上で参考になる発見をたくさんさせていただきました。


運営メンバーは、前日に秋田入りし、そこから合流させていただいたことで、移動時間中に、asobi基地の実践を通じて蓄積してきた子どもや親を取り巻く環境の変化や課題についてディスカッションできたことがまず一つ目の発見。
そこにはまちづくりなど地域が抱えている課題解決にも多くのヒントになるような視点がたくさん。


また、五城目町に到着後、五城目の仲間たちとまち歩きをしながらいろいろな資源を見たり体験することで、そこでも、みんなで意見を自然に出し合い、こんなこともできるね、こんな遊びも面白そう、とどんどんアイデアが生み出されたり。



みんな、「地域にはこんなに素材があるんだ」とワクワクしていたのが印象的でした。

そして、夕方に会場の下見と準備を始めると、なぜか準備のはずが、みんな時間を忘れて、遊び始め、体育館のにおいや空気が、大人の心を解放させ、何かのスイッチを押すんだと実感したり。

夜には、地域の若手リーダーの自宅でみんなで歓迎会を開催していただいて、地元のお母さんの作る手料理や山菜料理、名物のだまこ鍋、そして、美味しい日本酒をいただきながら、ここでもまた気が付けば、「こんなことしてみたい」「こんなイベント面白そう」「こういうの事業にならないかな」「こんな人巻き込んだら面白いかも」とどんどん新しいプロジェクトがその場で決まっていくという創造的な場が生まれていました。

もちろん当日も、運営しながら、スタッフ同士が雑談していく中で、新しい企画やコンセプトが生まれ、それがどんどん形になるなど、濃密な時間が過ごせたことが印象的でした。

その一つが、これまで常設設置されたことのないasobi基地の五城目への常設が決まったことにも象徴されます。

子どもたちが笑顔で走り回る姿を見た役場の方や地域のメンバーの想いが重なり、
asobi基地を五城目に常設で設置して、地域内外の子どもやママパパが気軽に遊びに来れる場を作ろう」
となり、イベントの終わりに、全国で最初の常設型のasobi基地の開設が宣言されました。


さて、少しだけ地域づくり寄りの視点からの気づきとしては

まず、廃校を活用した五城目町地域活性化支援センターでの開催で、これまでのイベントと違い子どもたちが多く参加した今回のイベントを通じ、学校は子どもがいることで完成される場(空間)なんだと実感。
つまり、子どもたちがいることで完成される、ある意味、未完成な場が学校という構築物であるという視点。

次に、地域の企業から素材を提供してもらうことで、子どもたちや親も地域の企業を知ることができるきっかけになり、自然発生的に地域への興味を引き出すことになるといった効果が期待できること。それは、結果として、子どもたちの地域への関心、愛着を生むことに結実する可能性を秘めていること。

そして、想いとやる気のある地域のリーダー、社会を良くしたいと本気で願い行動する社会起業家とその仲間、地域を良くしたいと願い行動する地域住民、それを応援する行政が共に想いを表明できる場があり、それをうまくコーディネーションすることで、地域はびっくりするようなスピードで動き出すということ。
人・場・タイミング、そして、みんなの覚悟が地域を動かすものだと実感できました。


とにもかくにも、普段は東京で一緒にいろいろなプロジェクトに関わっている仲間が秋田で2日間、一緒に時間を過ごし、町を歩いたり、地元の若手リーダーのお母さんの手づくりの料理で盛り上がったりと、合宿のような感じでそれぞれの考えや想いを伝え合い、これまでのことを振り返り、これからのことを対話できたことが何より大切な時間となりました。


CCLでは、今後も、五城目町の取り組みを陰ながら、微力ですが、全力で応援しようと考えております。




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