2014年2月27日木曜日

International Open Data Day in 会津を開催しました!


2014年2月22日のInternational Open Data Dayの日に、会津若松でInternational Open Data Day in 会津を開催しました。(以下、IODD会津)

IODD会津のコンセプト

会津ではIODDを開催するに当たり、一つのコンセプトを固めました。

「そろそろ使えるもの、そろそろビジネス」

です。

イベント参加者たちによるアイデアソンやハッカソンにより使ってもらえるかどうか未知数の高いものを作るのではなく、今、本当に必要とされているものを運用後のビジネスまで見据え作り量より質の実績を残すということを課題にしました。

また、会津若松にはオープンデータを推進するプレーヤーが多く存在するためそれぞれがもつプロジェクトを持ち込みながら、お互いが刺激しあい、開催後に各自で持ち帰りブラッシュアップを進めてもらいたいという想いもありIODD開催前から動いていた一つのプロジェクトが持ち込まれました。
それは「全国消火栓プロジェクト」です。

このプロジェクトは
「日本中の市町村に存在する消火栓や防水層の位置をデジタルの地図上にマッピングする」
というもので、これだけ聞くと「たったこれだけのサービス?」と思うかもしれません。

このプロジェクトで作成された地図は実は地域の消防団にとってとても有用なものなのです。
特に雪が多く降る会津のような地域では消火栓が雪に埋もれてしまうため消火活動が遅れてしまうという問題がありました。

当初、消火栓や防水層の位置データは紙面で、且つ複数の場所で保管されていたため場所によって管理する情報に差異があったという事実があり、それを防ぐために消火栓・防水層の位置情報のデジタル化、さらに一元管理の方法として「オープンデータ化」と「デジタルな地図上での可視化」が検討され地元に住む有志の活動によりプロジェクトのサイトが制作されました。

会津若松市消火栓マップ
http://aizu.io/app_list/hydrant/

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消火栓マップ

今回、IODD会津では全国消火栓プロジェクトの事例を活かし、他の市町村の消火栓データについて同様のサービスを立ち上げました。その様子は記事の後半で報告します。

イベントの内容
さて、今年のIODD会津では以下の3つのテーマを掲げ開催しました。

テーマ1・・・「行政課題ハック
テーマ2・・・「データアナリティクス
テーマ3・・・「全国消火栓プロジェクト

です。ここでは前述したテーマ3以外のテーマについて紹介します。

1つ目の行政課題ハックは行政が今困っていることやそれらに関するデータを集め、市民の力で解決できるアプリの制作を行うことが目的です。

2つ目のデータアナリティクスは、データアナリティクスを勉強した弊社会田がその手法を用い、会津若松市にお店を出店する際の最適な場所のシミュレーションを行った考察を交えて発表しました。

以下、それぞれについて簡単にご紹介します。

テーマ1「行政課題ハック」
行政の課題ということで、チームには会津若松市役所の本島様にもご参加いただき現場の声を語っていただきました。そこで出たテーマが「ごみ集積場所とごみステーションの場所の可視化」です。

会津若松市内に指定されたごみ集積場所とごみステーションの場所はこれまで紙面で管理されており、更新や運用の面でデメリットが多かったようです。この機会にデジタルの地図上にマッピングしてみたいということで作業がスタートしました。


このテーマの課題でなったのは、データのソースが「紙」であるという点です白黒の地図にマーカーでしるしがつけられているだけの紙の地図からどのようにデジタル化するのか?

チームが選んだのはSpotPickerというWebアプリです。
これは行政課題ハックチームのリーダーでもある前田さんが代表を務めるデザイニウム社で制作したもので地図の任意の場所をクリックするとそこの緯度経度が取得でき、それらをまとめてCSVとしてダウンロードすることができるというものです。

このツールを用いて紙の地図を見ながら、パソコン上に表示された地図を合わせおおよその場所をクリックし緯度経度を拾い上げ、CSVに変換することでオープンデータ化するという手法が選ばれました。


作成されたデータセットは会津オリジナルのオープンデータプラットフォームである「Data for Citizen」にアップロードされ、最終的にこのような地図が出来上がりました。

会津若松市ゴミステーション・集積所マップ
http://www.data4citizen.jp/app/developer/app/brgZZVWyUX/html/index.html

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マップページ
テーマ3「全国消火栓プロジェクト」

このチームでは、すでに稼動している会津若松市版のシステムを活用し他の市町村の消火栓マップ作りを行いました。

今回は

・静岡県裾野市
・岩手県滝沢市

の2つの市の事例作成です。

どちらもデータのオープンデータ化と消火栓位置情報の可視化をするわけですが、今後ビジネス展開を見据え「全国の市町村に展開できるようにパッケージ化を行う」という目標を設定しました。

・裾野市版の開発

裾野市版制作においては、データがすでにLinkDataに掲載されていたため会津若松市版の仕組みをそのまま適用することで容易に可視化を行うことができました。ただし会津若松市版を他の市町村版に対応させるためにプログラムの内容を一部弱冠修正する必要があり、パッケージ化としてはまだまだ改善の余地があるといった印象です。

完成したのはこちらです。
http://openpublic.info/susono/search3.php?q=%E8%A3%BE%E9%87%8E%E5%B8%82%E5%BD%B9%E6%89%80

・滝沢市版の開発

こちらはデータがLinkDataではなく緯度経度情報が入っていない状態のExcelファイルと、テーマ1と同じようなペンでマークがつけられている道路地図があるだけところからのスタートとなりました。

データソースの道路地図

今後も同様な状態からスタートすることも十分に考えられるのではということで、紙のデータをデジタルに変換する作業を伴う後者から開始。

この作業を行うに当たり

・データ入力
・共通語彙検討
・マップ開発

という3つの小さなグループに分け以下の作業を行いました。

・データ入力グループ
チーム1でも使用していた「SpotPicker」を使い、道路地図1ページごとに手作業で位置情報を取得。2人が同時に作業を始め最終的に統合し、1つのCSVデータを作成しました。

・共通語彙検討チーム
全国で使ってもらうサービスを目指すためCSVやRDFを作成するにあたりファイル内の項目名を決める必要があります。

・各市町村の担当の方に収集してほしい項目は何か
・その項目名をどのように決めるか
・現在決められている共通語彙を調べる

といった語彙に関する部分を担当しました。

・マップ開発チーム
主にデータ入力チームが作成したデータを扱うためのサーバとプログラムの準備です。会津若松市が独自で構築したオープンデータプラットフォーム「Data for Citizen」からデータを取得するためのプログラムが必要になるため、既存のプログラムの修正も行いました。

最終的にそれぞれの成果を統合させて一つのサイトに仕上げました。

岩手県滝沢市消火栓マップ
http://openpublic.info/takizawa/search3.php?q=%E6%BB%9D%E6%B2%A2%E6%9D%91%E5%BD%B9%E5%A0%B4

イベントの最後は各チームが進捗を発表。

チーム1「行政課題ハック」

チーム2「データアナリティクス」

チーム3「全国消火栓プロジェクト」

今回、どのチームもそれぞれ設定した目標には到達できなかったものの、イベント後も有志で進めていくということが決まり完成版への期待が高まります。IODDをきっかけに新たなプロジェクトとプレイヤーがうまれ会津のオープンデータがより一層前進する機会となりました。

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